夏の高校野球、愛媛大会は帝京第五が甲子園への切符を手にしました。
一方で涙をのんだチームの中には、部員が足りず合同チームで参加した学校もあります。
“少人数でも野球がしたい”という思いで3年間を過ごしたある球児の夏を追いました。

■ 3学年がそろう最後の夏

今年3月の愛媛県立宇和高校三瓶(みかめ)分校、野球部。部員はマネージャー含め4人です。
三瓶分校唯一の3年生 宮本陽輝君
唯一の3年生、宮本陽輝(はるき)君。力強いバッティングが持ち味で、キャッチャーとしてチームを引っ張ります。

(宮本君)
バッティングも守備もそうですけど、みんなでチームワークを発揮してプレーがかみ合った瞬間が一番楽しい


(マネージャー)
私たちに優しく接してくれるのでとてもいい先輩
(野球部2年)
ご飯とか誘ってもらったりしています
(野球部2年)
運動能力とか野球の技術とかはもちろん僕たちよりすごく上なんですけれども、時々抜けているところがある(笑)


そんな仲の良さが魅力の野球部ですがこの時、心待ちにしていたことが…。

(記者)
新1年生は野球部に何人ぐらい入ってきてほしい?
(宮本君)
男子全員入ってきてほしい。人数が多い方が活気があっていいチームになると思っているので

三瓶分校の入学式
4月の入学式。今年度、三瓶分校は15人の新入生を迎えました。しかし、生徒数の減少で5月に来年度からの募集停止が決まりました。この1年生が三瓶分校最後の生徒となる見込みです。

3学年そろっての夏は今年が最後。
そんな中、野球部にも1人仲間が加わりました。
宇都宮吏聖(りせい)君です。
三瓶分校の新入部員 宇都宮君
(新入部員 宇都宮君)
先輩からの誘いもあったし野球を楽しくしたい
(宮本君)
1人増えてまた一段と明るくなっていい雰囲気で活動できていると思う


それでも人数が足りないため、去年春からは本校の宇和高校と一緒に練習し、合同チームとして試合に出場しています。

■部員不足で様々な学校との合同チーム 苦しい時もそばで支えた父親

自宅では父親と練習も
小学3年生でソフトボールを始めた宮本君。それ以来、よき指導者であり成長をそばで見続けてきたのが父・光靖さんです。

(父 光晴さん)
三瓶の監督がいたり、連合になるとまた連合も監督が変わったり、
監督の指導方針とかやり方が変わってくると「え?」ということが多々あったかもしれない


1年生の夏は三瓶分校単独での出場でしたが、それ以降は様々な学校とチームを組んできました。

(宮本君)
プレーが合わない部分もあって、自分のいいところを出せないときがあった。
精神的な部分でそこが一番苦しかった


それでも野球を諦めることはありませんでした。父・光靖さんとの自主練習も欠かさず続けてきました。
(父 光靖さん)
最後いい結果残したり、いいバッティングというのが見てみたい


宇和高校との合同練習
夏の大会まであとわずか。宇和高校との合同練習では最終調整が行われていました。

(宇和高校 土居元気キャプテン)
三瓶の選手たちが一緒に入って来てくれて、できる練習もメニューも増えた。
宮本君はフレンドリー。キャッチャーとしてチームを引っ張ってくれたりここぞっていうときは打ってくれたり、みんなから見ても頼れる存在にはなっていると思う
(宮本君)
このチームがとても好きなのでみんなと一緒に優勝して甲子園行きたい