例年、9月末から10月はじめにかけて盛岡市の中津川などで見られはじめるサケの遡上に異変です。ふ化場では採卵のためのサケを獲ることができていません。江幡アナウンサーの取材です。
(リポート)
「盛岡市を流れる簗川沿いにあるサケのふ化場です。例年ですとこの時期にはサケの卵で一杯になっている水槽は、空です」
北上川の一部やその支流の簗川で獲れたサケのふ化事業を行っている盛岡河川漁協。例年135匹を目標に雌ザケを捕獲・採卵していますが、今年はまだ1匹も獲れていません。
(盛岡河川漁協 藤村進 組合長)
「例年ならほぼ簗川は終わる時期です。今年は水温が高いから遅れてると言っていましたので、ひょっとしたら今から来るかもしれない」
12日、盛岡市愛宕町の文化橋付近の中津川で、産卵のため川底を掘るサケとみられる魚が撮影されましたが・・・。
(藤村組合長)
「マスですね。ここの赤い線と(背中の)点々、サクラマスですね」
同じように川でふ化し、一旦海に出てから生まれた川を遡上するサケとサクラマスは見かけがよく似ています。
婚姻色と呼ばれる縞模様がサクラマスがピンク色なのに対し、サケは色が濃く赤っぽいということで、撮影された魚はサクラマスだったとみられます。
では、サケの遡上はどうなっているのでしょうか。
一般社団法人・県さけ・ます増殖協会によりますと、10月10日までに岩手県沿岸から河川を遡上し捕獲されたサケは561匹と、不漁だった去年の同時期の12%、2019年から2022年の平均と比べると4%に過ぎず、採卵も進んでいません。
海水温の上昇などが理由にとりざたされていますが、藤村組合長はなす術がないと言います。
(藤村組合長)
「自然環境が同じであれば放流自体は望みがあったんですが、海水温が云々、海流が云々と言われれば、私たちが及ぶところではないのかなと」
同じく不漁だった去年は北海道から購入したサケの卵でふ化事業を行いましたが、今年は北海道の卵が入るかどうかまだ分かっていません。
事業の先行きは不透明なままです。