ゴールデンウイーク中の盛岡市の繁華街です。若者や帰省した家族連れなどでにぎわっていました。
 5類移行によってさまざまな行動制限がなくなったことで、観光や飲食業界では客足の回復に期待する声も少なくありません。

「やっとという感じですかね。これから堂々と飲みに行こうかなと思っています」
「今までも外食しなかったわけでもなかったので、ちょっとずつ増えていくのかなと個人的には思っています」

 岩手県は8日、新型コロナ感染対策で一定の基準を満たす店舗を対象にした「いわて飲食店安心認証制度」を廃止しました。
 ジャズの演奏と食事が楽しめる「すぺいん倶楽部」の経営者で、県社交飲食業生活衛生同業組合の理事長を務める西部邦彦さんは、交付された認証マークやパーティションを開店前に取り外しました。

 にぎわいの復活に懐疑的な立場です。
 東京商工リサーチ盛岡支店によりますと、県内では2020年5月から今年4月までに負債総額1000万円以上の新型コロナ関連倒産が41件ありました。年々増加傾向を示しています。
 このうち売り上げ減少にあえぐ事業所を支援する目的で行われた実質無利子・無担保のコロナ関連融資=「ゼロゼロ融資」を利用した企業も年々増えています。

 3年以内と設定されていた元金返済の期限を順次迎えていて、資金繰りの厳しい中小・零細企業による小規模な負債総額の倒産が懸念されています。
 全国生活衛生営業指導センターの経営状況調査では、一般的な飲食業がコロナ禍前の売り上げに近付きつつあるのに対して、「接待を伴う飲食店」は回復傾向が鈍いという結果も出ていると言います。
 さらに食料をはじめ物価の高騰が追い打ちを掛け、サービスやメニューの価格に転嫁できず苦境に立たされています。
 倒産する飲食店が増え税収の減少が積み重なれば国や自治体の財政にも影響が及ばないとはいえません。

(西部邦彦さん)
「資金の援助をしてほしい。その中身はお上が考えてもらって、それはクーポンでも何でも良いから営業しているわれわれに(経営を)回す潤滑油を」

 新型コロナで消費者の生活様式がすっかり変わったと口にする西部さん。業界として、感染対策の徹底を継続しながら若者をはじめとした新規顧客を誘導するための取り組みにも知恵を絞っています。