倉本聰の脚本術とは…その②ひらがなとカタカナ
是枝さん: 少し脚本のディテールの話に入ってもいいですか?倉本さんの脚本には、しばしば台詞にカタカナが登場します。『前略おふくろ様』のサブが、口にする『するンスか?』の、ンとスだけがカタカナになっています。
もちろん、統計をとったわけではありませんが、東芝日曜劇場『うちのホンカン』シリーズ(1975~81年・HBC)では八千草薫さんが口にするホラとかゴメンナサイという台詞は、だいたいカタカナです。スミマセン…細かすぎるかもしれませんが。
『風船があがる時』(1972年・HBC)のフランキー堺さん演じた五郎の台詞で『そうか、太宰かぁ』の、一つ目の"かぁ"は、ひらがな表記です。そして二つ目の『太宰かァ』はカタカナ。かなり意識的に書き分けていると思うのですが…?
倉本さん:すげぇ、細かな質問ですね(笑)。ひらがなとカタカナとは、ニュアンスが違うんですね。物理的に言えば、カタカナは促音(そくおん)、跳ねる音。例えば"なんだ"の場合だと、んとンでは跳ね方が違う気がするんです、本当に感覚的なものですけれど…。
是枝さん:カタカナで書かれた台詞は、陰と陽の陽…ある種の"軽やかさ"が出てくるのかなと、思ったんですが間違っていませんか?
倉本さん:"軽やかさ"…だけではなくて、女の男らしさを出すときにカタカナ使う場合もあります。ひらがなとカタカナの使い方は、日本語では分類されていませんが、せっかくあるんだから、自分の中で、これを区別して使っちゃうおうか、といろいろと考えます。







