倉本聰の脚本術とは…その①ひとり語りと間
倉本さん:日活って映画会社は、回想形式とナレーションを禁じていました。僕は『前略おふくろ様』(1975~76年・日本テレビ)の脚本を書いたときに、初めて、ひとり語りの台詞を使いました。無口な板前のサブ(萩原健一)は山形出身で、方言が激しいことから、上京後は、言語コンプレックスで、あまりしゃべれないという設定なんです。でも心の中には、いっぱい声があるわけです。それなら、その心の声を台詞に出しちゃえ!ってことでやったんです。
倉本さん:多分、僕の台詞術の中で間=間合いに対する考え方が、一番大きな要素なんですね。いま僕が話しているときに"こう言ったら分かってもらえるか?""こう言ったら分からないかな?"と、無限にある言葉の中から選ぼうとする、思考の時間があるわけです。そこにはインナーボイス(心の声)があって"こう言ったら失礼かも…生意気と思われるのでは?"と考えている時間が間=間合いなんです。
倉本さん:その「間合い」をね、きちんと演じる役者、きちんと撮ってくれる演出家が、なかなかいないんです。だから、喋っている人を撮らないで欲しいと、何度か演出家に言っているんです。聴いている人を撮って欲しいと。僕は"聴いている人にドラマがあるんじゃないか"と思うんです。







