9本の線路を越える避難の課題とは 夜間や冬場の危険性も

室蘭市訓練・訓練サイレン(9月6日)
「ウーッ」

訓練で線路を歩く住民
【訓練】初めての訓練で非常扉を通る住民(9月6日 北海道室蘭市)

9月6日、初めての避難訓練で、住民が線路横断を体験しました。大津波警報が発表されたとの想定で、非常扉を開け、線路に立ち入ります。この避難経路は、貨物列車が荷物を積み下ろしするターミナルの構内を通ります。

線路の段差を越える住民
【訓練】石が敷かれ段差のある線路を越える住民(9月6日 北海道室蘭市)

渡る訓練をした住民(9月6日)
「歩きづらい…歩きづらいもんですね…」
「足がグラグラになる」

線路には、大きくゴロゴロとした石が敷かれていて、傾斜で足を取られます。
レールの高さは、約15センチと、建物の階段と同じくらいの段差があり、思った以上に、膝を上げなくてはなりません。

訓練した住民(9月6日)
「渡って高い所に行けるので、夜や冬とかは危ないのかなとと思いながら」
「砂利を上がる所は大変だったけれど、渡れるということはすごく進歩したのではないかな」
「足悪いからね、でも頑張って歩けるから、いざとなったらそんなこと言ってられない」

避難の選択肢が増えたことに、住民は安心した様子でしたが、9月6日は、旅客列車が走るJR室蘭線を渡り切るまでの訓練が、ダイヤの都合上できませんでした。

複数の線路が並ぶ様子
実際には最大9本の線路を越える必要がある

実際に避難するときは、訓練の3倍。最大9本の線路を越えなくてはなりません。

室蘭市東地区自主防災会・橋本正敏会長(9月6日)
「実際に立ち入ったことがない線路をみんなで経験してみようというのが、一番の私たちの目標だったので、訓練を繰り返して、どういう問題があるか検証していきたい」

防災の専門家は、線路を横断する避難経路には、まだ多くの課題があると指摘します。

インタビューに応じる根本昌宏教授
日本赤十字北海道看護大学の根本昌宏教授

日本赤十字北海道看護大学・根本昌宏教授
「自分たちが使えるものが増えるというのはこれは私たちの命、もしくは健康を守ることに直結することは間違いない、その中で今だったら、このときだったら私たちのベストな避難方法だということを選べるか」
「今回体験しなかった人の方が圧倒的に多いはず、手順に沿って、実際に自分が動けるという前提になるのは訓練、やったことないことを災害後の混乱の中で実現することは極めて難しい」

津波浸水想定区域にある線路の地図
北海道内で津波の浸水想定区域に線路がある市町村

夜や冬に線路を渡ることは、高齢者や子どもにとって負担が大きいとみられます。番組の調べでは、北海道内で津波の浸水想定区域に線路がある市町村は26あります。

線路を横断する避難経路の設定は、北海道東部の厚岸町、胆振地方の伊達市や登別市などで進められています。本来は、頑丈な跨線橋を建てることが理想ですが、各自治体は厳しい財政事情もあり、建設が難しい背景があります。

線路横断避難の課題を示すフリップ
【さらに画像を見る】線路横断の津波避難 初訓練で見えた課題

線路横断に必要なこととして、日本赤十字北海道看護大学の根本昌宏教授は、線路の横断は危険なため、住民、自治体、JRで安全を担保するルールを作り、周知徹底することが必要だとしています。津波警報だからと言って、列車が直ちに止まるとは限らないためです。

また、線路横断をメインの手段にせず、避難経路を複数用意する。そして状況に応じて最適ルートを選ぶこと。さらに、必ず何度も訓練をすることが重要であり、訓練でできないことは本番でもできないと指摘しています。

津波だけでなく、全国で災害が多く発生しています。改めて避難経路や命を守る行動の確認が求められます。