《野口さんが訴える…法整備の重要性と行政がやるべきこと》

――伐採の話ですと、猛禽類医学研究所 齊藤慶輔代表が撮影されたドローンの映像では、森の中に一区画だけ緑がなくなっている様子が映っていました。

メガソーラー建設が進む地域(提供:猛禽類医学研究所)

野口健さん:あそこは湿地帯ですよね。湿地帯ができるまでにはものすごく長い年月がかかりますし、そこにパネルを設置するためには盛り土をしますから、そうなると生態系がガラッと変わってきます。私有地であるがゆえに、なかなか止めることができないという問題でもあります。

そこも含めて法整備をしていかないと、私有地は何をしてもいいのか、という話になってしまいます。今回はたまたま業者が、いろいろ問題のあるところで、法令違反、森林法違反も含めて、盛り土もひょっとしたら法律に引っかかるんじゃないかという話です。どういう土を使っているのかということにもよるのかもしれませんが、生態系の法令違反について調査をしていなかったということもありますし、そういう意味では悪質だということで、ひょっとすると建設を止められるかもしれません。

ただ、法令違反を一切していなければ止める手段がないわけです。そういう意味では、やはり法整備をしていくことと、同時に地元の行政の方で条例をまず立ち上げることが大事。強制力はなくても、市が条例を立ち上げていくと、外部から入りづらい雰囲気を作ることができます。

釧路市役所を訪れた野口健さんとつるの剛士さん(10月2日 北海道釧路市)

私はこの周辺を回りましたが、釧路市だけではなくて、周りの市町村と共同で「ノーモア・メガソーラー宣言」のようなものを出せないかと市長さんらに相談しました。生き物にとって行政の境目は関係ありません。鳥の場合は、なおさら移動しますし。みなさん「趣旨はわかる」「守っていきたい」といいますが、ただ、温度差があります。「ノーモア」の定義の問題で、一切ダメというニュアンスも出るので。調べると、すべてダメという話でもないので、そこはある程度足並みをそろえて、キャッチーな強いメッセージが必要なので、この周辺の行政が連携して、「ノーモア・メガソーラー」みたいな共同宣言を出してもらえないかと思ってあちこち行ってたんですが、そう簡単ではないことも分かりました。

あとは世論だと思う。周りから声が上がってくれば政治は動きます。今回、環境大臣も言及していました。文部科学大臣も言及して、そして多くの国会議員がこれに対して発言しています。10数年、私はこういった活動にかかわってきましたが、僕からしたら革命的な出来事です。なかなかみんなそこには触れないです。

環境大臣、環境副大臣、いろんな方に相談してきましたが、みんなメガソーラー問題に関しては、国は、再生エネルギーを広げていく立場なので、それに対して止めるというのは声は出ない。この10数年、いろんな国会議員の方に相談するなかで、なかなか声を上げる人はいなかった。この2か月間で状況はガラッと変わりました。それは世論、世の中の声が上がったからだと思います。そうなると動くのかなと。

《北海道・鈴木知事への要望…ルールを守らない業者への規制強化を!》

あとは最後は知事でしょう。鈴木知事が中止勧告まで出していますけど、中止命令を出すと。これがでると大きいと思います。

法律の専門家に調べてもらったところ、法的には知事は中止命令を出せるだけの根拠はあると。あとはご本人の裁量ですよね。ボタンは押せるはず。

ただ、そうなると業者と裁判になる、北海道と業者が闘うことになると思う。私は全国のためにもそれをするべきだと思っています。今回、釧路に来たのは、メッセージをどれだけ発信できるかだと。声が大きくなってくると、最終的に、知事は、命令というボタンを押さなければならなくなる。というところまで何とか持っていきたいです。知事がボタンを押したら強いです。命令は命令なので、それはとても強いので。

河口湖だったかな、富士山のふもとでも、同じようなことがあって、外資のホテルが、前に木があって富士山が見えないと勝手に切ったんですね。違法伐採です。それは摘発されて逮捕されました。

やっぱり、メガソーラーが悪いというわけではなくて、ルールを破ったメガソーラー業者については、徹底的に取り締まるということをしないと。

「ルールを破ったが…お金を費やしたし、強硬突破します」と業者は言っているわけです。それを許しちゃいけないです。現行法の中でも、すでに違反しているわけですから、ゆるい法律の中でも違反しているわけですから、それは目をつぶってしまうとなんでもありになるので。釧路周辺地区のメガソーラーに関しては、いろんな問題がありますので、これは是が非でも止めるというような意思表示をトップリーダーである知事にはしてもらいたい。いろいろ検討している最中かもしれませんが、メッセージを出してほしいと思います。トップリーダーの言葉はみんなが注目しているし、おそらく多くの北海道の人たちは、知事に明確に意思表示をしてほしいと思っているのではないかと私は思っています。

いままで、知事が中止命令を出して、止めた前例はないんです。そういうことがあるのかもしれないです。過去に前例がないので、裁判になってもし負けたらどうする…とかね、そういうことがあるのかもしれません。でも、これはやるべきだと思います。