《「"釧路湿原問題”を止められなければ次はない」という危機感》

――実際に近くの工事現場はご覧になりましたか。

野口健さん(左)と猛禽類医学研究所の齊藤慶輔代表(10月2日 北海道釧路湿原周辺)

野口健さん:はい、通りました。猛禽類医学研究所 齊藤慶輔代表が撮ったドローンの、まだ表に出ていないものも含めていろいろ映像を拝見しましたが、やはり規模が大きいですね。周りが広いので、映像や写真だけで見ると、あまりスケール感がピンとこない。実際横を通ってみると、広いということが分かります。

文部科学省は場合によって「原状回復を」という命令を出すと言っていますが、原状回復をと行政が命令を出したところで、本当に原状回復できるのかというと、おそらくできないだろうという専門家の意見もあります。

釧路湿原周辺の工事現場(7月 北海道釧路市)

ある程度近づけることはできるのではないかと。ただ、映像や写真で見るよりも広い。大きい重機が入っているわけじゃないですか、重機が小さく見えますから。そうみるとあの場所は広い。実際に肉眼で見るまでは、ピンとこない。ああいう現場は、自分の目で見ないとだめですね。

《同じ問題を抱えているマチは全国各地に…》

――千葉県の鴨川とは少し違いますか?
野口健さん:鴨川の方が規模は圧倒的に大きいですが、注目はされていない。釧路は湿原だから注目されるんです。そこの違いはある。釧路湿原は、多くの日本人にとっては守らなければならない場所というイメージ、印象がある。その釧路湿原にまでメガソーラーが入ってきたことに対する衝撃でしょうね。

また、各地域の人たちも自分たちのマチに同じ問題を抱えていて、何とかしたいけど止められない。もがいている人が多い。そういう人たちが、釧路湿原でこの問題が起きた時に、自分たちの日頃の思いを釧路湿原に託しているところもあるのかもしれません。そうじゃないと、短期間で一気に声が集まることはなかなかないと思う。だから、みんなどかで、「自分たちのマチでも起きているものが、釧路湿原で起きている」ということに、どこかで重ね合わせているところもある。釧路湿原を止められなければ、この機会を逃せば次はないなという危機感を抱いていますよね。

《メガソーラーができると、野生動物が近づかなくなる現実も…》

確認されたオジロワシの巣(10月2日 北海道釧路湿原周辺)

オジロワシの巣が2つは確認されている。キタサンショウウオもね。ただあそこは盛り土してしまっていますのでね。掘り起こしてもね…。森だけでなく希少生物が確認できたということで。全国の人がどこまで知っているかはわかりませんが。

オジロワシはセンサーを付けているので、どこを飛んでいるか全部わかっていて、500メートル、1000メートル、1500メートルの円があって、その中をどこまで移動しているのかという調査をしていると、ある1か所はそこだけ印がないそうです。おかしいなと、そこだけいないわけがないと思って行ってみると、そこにはメガソーラーがあったというんです。ソーラーがあると野生動物がなかなか近づかなかったりとか、中に潜り込んじゃったりとか、そういうのが非常によくないと。

そういう調査をやっているのでメガソーラーができると、当然野生動物は近づかなくなる、すみかを失うと。そういう説明を受けました。

センサーを付けているので、どういう移動をしているのかというのがだいたいわかる。ソーラーのところにはなかなか近づかない。さらにいろんなところにメガソーラーが増えていくと、もうあの辺りで野生動物は住めなくなるということでしたね。

鶴居村もメガソーラーの建設予定地を行政が買うということで交渉しているみたいですが、あれはあれで画期的だと思います。なかなか行政が買い取るというのは、私はあまり聞いたことがなかったので…。