(ブルームバーグ):27日の日本市場では株式が下落している。米国とイランの早期停戦への懐疑的な見方から経済への懸念が強まった。円相場は片山さつき財務相の発言を受けて対ドルで上昇している。債券は下落(金利は上昇)。
トランプ米大統領はイランと外交的な合意に至るかは確信を持てないと述べた。米株はS&P500種が戦争開始後で最大の下落率で26日の取引を終え、日本株もハイテク株などに売りが膨らんでいる。早朝に対ドルで159円85銭まで下げた円相場は、「断固とした措置も含めしっかり対応する」と財務相が述べたことを受けて買われている。債券は中長期債中心に下落。
米・イラン戦争の行方やインフレに影響する原油価格の動向が経済・金融政策や市場を揺さぶる状態が続いている。トランプ氏がイランのエネルギー施設攻撃停止を延長すると発表した後には原油価格が一時下落、円は買い戻される場面があった。
経済・金融市場の情報を提供するマーケットコンシェルジュの上野泰也代表は27日付リポートで、イランが提示した停戦実現条件へのハードルは今回明らかに低くなったと指摘した。その上で中間選挙に向けて戦争とガソリン急上昇が強い逆風のトランプ氏と、戦争に勝ち目がなく「国体護持」を図りたいイラン側で、遠くない将来に妥協が成立するだろうと予想した。
株式
日本株は続落。米国ではフィラデルフィア半導体株指数が4.8%安となるなどハイテク株が下落し、国内でも半導体・人工知能(AI)関連への売りが相場を押し下げている。機械や自動車、化学なども安い。半面、ゲームなどのエンタメ関連や情報・通信が高い。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「米国がイラン施設の攻撃停止期限を延長したとはいえ、米イランそれぞれが提示する条件はお互いすんなり飲み込める内容ではなく、交渉は長引きそうだ」とし、市場としては楽観視できる状況にはないと話した。
きょうは3月期決算企業の期末配当や株主優待の権利付き最終売買日で、権利取りを狙った個人投資家などの買いは入りやすい。売り一巡後は相場が下げ渋る可能性もある。
為替
円相場は対ドルで159円台半ばで推移している。イラン戦争長期化への懸念からドル買い・円売り圧力が根強い中、節目の160円を目前にして当局の介入警戒感も強まっており、円を買い戻す動きも出ている。
片山財務相は27日の閣議後会見で、円相場が1ドル=160円に接近していることを受けて「断固とした措置も含めしっかり対応する」と述べ、為替介入も辞さない構えを改めて示した。「特に石油関係の事象に引きずられた、投機的な動きも見られる」と警戒感も示した。
三井住友信託銀行ニューヨークグローバルマーケッツ部の山本威調査役は「戦争長期化への懸念が市場を覆っており、ドル買い、債券売り、株売りが続いた」と語る。トランプ米大統領がイランのエネルギー施設攻撃停止の期限を延長すると発表して、こうした動きはやや巻き戻されたが、週末に何が起こるか分からないので、投資家は様子見姿勢になるとみる。
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは27日付のリポートで「週末に向けて不確実性が高い中、ドル買い戻しが続きやすい」と指摘。ドル・円は160円に接近しており「本邦当局の対応が焦点となる」という。
債券
債券相場は下落。原油高を受けて米国市場で長期金利が上昇した流れを引き継ぎ、売りが先行している。
東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、原油高によるインフレと日本銀行の早期利上げ観測もあり「地合いは良くない」と指摘する。同時に超長期債が比較的しっかりしており、相場は下落後にやや持ち直すとみている。
日銀は26日、政府の物価高対策など特殊要因の影響を除いた新たな物価指標の公表を開始した。
りそなアセットマネジメントの藤原貴志チーフファンドマネジャーは「推計方法を見直した需給ギャップは需要超過に転換しており、価格転嫁がしやすくなっている現状を裏付けた」と語る。
その上で戦争が早期に終結しても原油価格は元の水準に戻らず、今後さまざまなモノの価格が上昇するだろうと指摘。日銀が4月に利上げに踏み切る可能性が意識されており、債券の重しになっていると言う。
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