■「私だけは働いていると思うけど…」「それは人が評価すること」
「働かないおじさん」世代にもインタビューした。
建設コンサル業(50代男性)「私は“働かないおじさん”とは違います。気合・やる気で頑張ってきました。体力だけには自信があります。土日はジョギングしたり、体壊したら働けないので」と、やる気をアピールする男性。
商社(50代男性)「在宅が多いので今、ずっと在宅で仕事をしていると、何をしているかどうしてもつかめない。(若手から)不平不満は出ているかもしれないので、そこは気をつけたいと思っている。だから極力出社するようにしている」と。
コロナ禍で直接顔を合わせる機会が減り、若手からも働いている様子が見えにくくなっていることが「働かないおじさん問題」をさらに難しくしているようだ。
こうした中、20代・30代・40代・50代の同じ金融関連の会社に勤める4人組が、岐阜市内の居酒屋に…。そこでは、働かないおじさん世代が追い詰められていた。

「乾杯~!」
まずは最年長の50代の上司の意見を伺うと…「周りには働かないおじさんは、いっぱいいますけど、僕だけは違うと思っていた。でも、働いてないぞお前!みたいな視線が今日は痛いですね」

40代社員「それって結局、自己満足なんですよね。実際、判断するのは周り。自分で働いていると言う時点で働いてないですよ!」

50代社員「僕、めっちゃ働いているつもりなんですけど、周りが働いてないと思っているのがショックです」
30代社員「“働かないおじさん”は、お給料を減らしていただいた方がいいと思います!」

50代社員「俺の給料減らせってことか!」
30代社員「私はちゃんと仕事してます」
50代社員「30代の彼は『エース』だから。40代の彼は『ソース』」
40代社員「これです、まさに。こういう発言がまさに働いてない!」(苦笑)
言われっぱなしの50代の上司でしたが、最後に…
「愛があって言ってくれているからいいかなって。僕、そんな高い給料、実はもらってないし」

■「働かないおじさん問題」のトリセツによりますと…
今回、20代記者が取材で参考にしたのは人事コンサルタントの難波猛さんの著書「働かないおじさん問題」のトリセツ(出版:アスコム)
難波さんはこうまとめている。
働かないおじさんは働かないのではなく、うまく働けない状態にある。周りが期待する役割と成果や行動にギャップが生じてしまっている。
背景にあるのは、DXや働き方改革、コロナ禍のテレワークなどでビジネス環境が目まぐるしく変化していること。働かないおじさんは、そこに適応できていない傾向にある。
「働かないおじさん問題」は本人だけの問題ではなく、周りのモチベーションにも影響する点で職場の問題と言える。
では、働かないおじさんにならないためにはどうすればいいのか?難波さんは「変化に対応していく力」「学び続ける意欲」が大事と話す。
「できることだけを一生懸命やる」という、多くをそぎ落としていく働き方を50代に説くコンサルタントもいる。どんどん若い世代に引き継いでいくためでもあるが、そのタイミングで「働かないおじさん問題」が生まれやすいこともあるようだ…。
「働かないおじさん」は、いつの時代もいたのだとは思うが、大きな社会変化の波が次々に来たために、より鮮明に「だめっぷり」があぶりだされているのが今の時代だととらえる。
互いの世代が認め合える会社・職場・チームは、さぞかし心地良いだろう。
今回、自分はさておき…とはならず、モヤモヤが残る。20代記者の強い思いがこもった取材に50代が客観的にどう見えているのかを教えられた。あ~胸が痛む。
明るく、謙虚に生きていこう…
CBCテレビ 報道部 大園康志