検察から2回目の「死刑」求刑
そして、この日の正午過ぎ。
検察官は「無期懲役では刑として十分に反映されておらず妥当な刑ではない」とした上で「死刑に処するのが相当」であるとして「死刑」を求刑した。

その時まで山田被告は検察側の資料をずっと眺めながら時にメモ書きをしていた。
「死刑」が求刑されたその瞬間も、それまでと特に表情が変わっていないように見えた。
弁護側「軽度知的障害の影響が大きい」
翌日、検察の論告に反論する形で弁護側の意見陳述が行われた。
弁護側は「山田被告には軽度の知的障害がある。犯行の根っこの部分は知的障害につながっている」と力説した。
山田被告は軽度知的障害の影響で短絡的・衝動的な行動を取ることが多く、行動を抑制する能力が低いという。

事件直前にたみ子さんから嫌みを言われ衝動的に殺害を思い立ったが、軽度知的障害の影響で「金をとる目的は同時に持てない」と訴えた。
短絡的・衝動的な行き当たりばったりの犯行で、山田被告には「強盗目的」や計画性は全くなかったとの主張だ。
「強盗目的」がないとする傍証として、弁護側は以下を主張する。
・事件当日にパチンコで6万円浪費したのは事実だが、手元には5万5000円ほど持っていた。
→強盗殺人するほど困窮してたわけではなく、翌日またパチンコに行って取り戻すつもりだった。
・借金とツケの合計は6万6000円。
→これまで支払いを催促されたことはない。
・山田被告は最初から一貫してたみ子さんの一言で怒りを覚え、殺害した後に財布をとったと証言している。
→軽度知的障害の影響で、怒りを晴らす目的と同時にお金を奪う目的を持つのは難しいと精神科医が証言している。

これらのことから、この事件は怒りを晴らすのが目的の犯行であり、「強盗目的」はなかったとして「無期懲役」の判決を求めた。
2時間近くに及ぶ弁護側の主張を聞きながら、前日同様に、手元の資料に時折メモをしていた山田被告。
裁判の最後に車いすにのって証言台の前に進み、こう語った。

(山田被告)「現実ではないんですがもしかなうのであれば、事件当時、その前に戻りたいです。それだけです」
「裁判員裁判」の判決は3月2日
審理はすべて終わった。
検察側が求める「死刑」か、弁護側が求める「無期懲役」か。
裁判員裁判で、私たちと同じ一般市民で構成される裁判員たちは難しい判断を迫られている。
注目の判決は3月2日に言い渡される。