立ちはだかる“法律の壁”
当初から被害者家族を支援してきた一般社団法人「ヒューマンラブエイド」の仲野繁共同代表は、私の取材に「交際中でも被害者がどう思うかが極めて重要で、望まない性行為はいじめの重大事態に当たると明確に示された」と話したうえで、「同じような学校内での被害者に希望を与える内容で、教育界において前進」と評価した。
こうした性被害は、結婚していれば、DV防止法の適用となるが、交際している場合は適用されない。また、この事案は2022年の出来事で、翌年に新設された不同意性行等罪に該当せず、警察にも取り合ってもらえなかった。立ちはだかる法律の壁、それでも学校側へ粘り強く訴えた被害女性と両親。

私は、その経緯を取材してきたが、幾度にもわたる学校との折衝は壮絶そのもので、母親も心を患ってしまうのでないかと心配になるほどだった。
普通なら折れそうになる心を奮い立たせてきたのは、今なお苦しむ娘を救いたい思いと、もっと違った青春時代を送ることができたはずの娘の未来を奪われたことへの怒りだったのかもしれない。
