日本酒発祥の地、島根県が窮地に立たされています。
食料米ばかりでなく酒米も高騰する状況を受け、26日島根県の酒造組合は支援を求める要望書を丸山知事に提出しました。

1882年、明治15年創業の松江市の李白酒造。

食事と一緒に楽しめるバランスのとれた日本酒が国内外から人気を集めていますが、今、ピンチを迎えています。

李白酒造・田中裕一郎社長
「過去にないピンチだと思います。正式な酒米の価格は出てないが、コメの価格確実に上がってくると言われている」

酒造りに欠かせない酒米の高騰です。

去年の仕入れ価格はおととしに比べ3割上昇。
今年は、JAしまねが過去最高額に引き上げると発表した農家に支払う前払い金「概算金」を踏まえ、更に7割上昇すると田中社長は予測しています。

李白酒造・田中裕一郎 社長
「今までの小売り価格で販売していくと、おそらく利益の出ない商品になってしまうし、企業努力でなんとか、ってところの数字はとっくに超えたところにくる」

こうした状況を受け、島根県内28の酒造会社でつくる「島根県酒造組合」は26日、島根県の丸山知事に要望書を提出しました。

「よろしくお願いします」

酒米の購入支援を県に要望しました。

そして、今年は生育が難しくコストがかかる酒米から主食用米に切り替える農家が増えていて、酒米の供給量が減る見込みで、農家に少しでも多くの酒米を作ってもらえるよう交付金の対象に酒米を加えることを求めました。
JAによりますと今年の酒米の作付けの契約は去年に比べ2割減っているということです。

さらに、今月発動したトランプ関税も追い打ちをかけます。

李白酒造・田中裕一郎 社長
「市場データとして、30ドルの酒の売れ行きは良く売れる価格帯。40ドルまで行ってしまうと急激に売れなくなると言われている」

商品のおよそ4割を輸出し最大の輸出国がアメリカというこちら、コスト上昇分を価格に転嫁すると消費量の低下を招く恐れもあるとのこと。

生産量を減らすなどして対応するとしていますが、日本酒発祥の地で酒造りが窮地に立たされています。