事実上の“運転禁止命令”が出されている柏崎刈羽原発の再稼働に向けて、組織の改善を図る東京電力は“地域の信頼”を取り戻せるのでしょうか。“改革”の現在地を取材しました。
朝の挨拶が“コミュニケーションの第一歩”

「おはようございます。ご安全に」
午前6時半。柏崎刈羽原発の正門で響く声の主は、発電所で働く5000人あまりを束ねる稲垣武之所長です。

【柏崎刈羽原発 稲垣武之所長】
「最初、去年4月に始めたときには、車両のうち半分も(窓を)開けてくれない状態でしたけれども、今は挨拶をすると挨拶を返してくれる人がすごく多い。雰囲気はすごく明るくなったと思います」

稲垣所長は、こうしたあいさつを“コミュニケーションの第一歩”と位置づけ、去年の4月からほぼ毎朝、この場所に立ち続けています。
あいさつ運動を始めて1年。発電所で働く人たちの姿勢は、目に見えて変わってきたといいます。

「皆さん、おはようございます」
続いて出向いたのは、発電所で働く協力企業の朝礼です。
【柏崎刈羽原発 稲垣武之所長】
「今、原子力規制庁から非常に注目されているのが、我々の行動、ふるまい。核セキュリティー文化に対するふるまい…」
直接、言葉を投げかけ、原発で働く人たちと“顔の見える関係”を築いています。

【柏崎刈羽原発 稲垣武之所長】
「所員は1100人ですけれども、協力企業は4000人から5000人近く来られますので、働いている人すべてが志を一緒にしてもらわないと、この発電所がしっかりとした発電所にならない」

こうしたトップの行動の背景には、おととし柏崎刈羽原発で相次いで発覚した不祥事がありました。