酪農家を取り巻く苦しい状況の中で、江部さんは『新潟県産牛乳の消費拡大』を呼び掛けています。

【江部牧場 江部広大さん】
「歯を食い縛りながら頑張っている酪農家さんを応援するつもりで、一杯でも多くの牛乳、県産牛乳を飲んでほしい」

飼料の高騰を農家と連携して乗り切ろうとする動きも

新発田市で乳牛およそ70頭を飼育する尾田拓志さん(43歳)も、牧草エサの8割が海外産のために、大きな打撃を受けています。

「年間通して1000万円以上の経費が上がっているので、昨年の決算はほぼ赤字…」

状況打開のために尾田牧場では最近、“飼料用の稲を発酵させたもの”を牛たちによく食べさせています。


【尾田牧場 尾田拓志さん】
「海外から輸入した乾牧草より断然安いし、成分的にも問題ない。しかも…“苦労して自分たちで作ったもの”なので、やりがいがある」

このエサを作ったのは、尾田さんら酪農家2軒と農業法人3団体で設立した団体『新発田コントラクター』です。
酪農家側は“たい肥”の製造と散布を農家側に提供し、農家側は自身の“ほ場”で飼料用の稲などを育てて作った“牧草ロール”を酪農家側に販売―。
これが、コントラクターの仕組みです。

コントラクターの農業法人側が製造した牧草ロールを酪農側が買い取る…。
自前の組織でまかなうため、飼料の価格が国際情勢にも左右されにくくなります。

【尾田牧場 尾田拓志さん】
「輸入の乾牧草を3割くらいに抑えたい。今年はたぶん5割くらい国産の乾牧草にできるので、上手くいけば700万円くらいまでコストを下げられるのではないか」

一方で、飼料を購入する酪農側が農業法人側に提供するのが、牛糞ともみ殻で作る“たい肥”です。
これまでは一日2tほど出る牛糞の多くをお金を払って処理していましたが、コントラクター設立後は、まとまった量を“たい肥”として販売できるようになりました。

【尾田牧場 尾田拓志さん】
「たい肥のおかげで『野菜の甘みが出た』とか、いい声を頂いています」