日向さんのアートを服に乗せたファッションショーが初めて開かれました。日向さんが服を通して伝えたいメッセージとは?

小千谷市で5月5日に開かれたファッションショー。訪れた人たちが見つめる中、やわらかな色合いに身を包んだモデルが、カフェの中のランウェイを歩きます。

【モデルを務めた人】
「私自身あんまり数学・算数が得意ではないんですけど、デザインとしてとてもすてき」

【来場者】
「『宇宙を身にまとっているみたい』と言う人がいたんですけど、本当にその言葉に大共感で、不思議とハッピーな気持ちになれるというか」
「宇宙を身にまとっているみたい…」。そんなデザインのもととなるこの「数式」を書いたのは、長岡市に住む馬場日向さん・19歳です。モデルたちの服は、柏崎市のデザイナー・小川結布好さんが手がけました。

【小川さん】「自分の書いた数式の服って、どう?」
【日向さん】「…」
【小川さん】「面白い?」
【日向さん】「うん」
【小川さん】「不思議?」
【日向さん】「うん」
【小川さん】「着ていて、いい感じ?」
【日向さん】「うん」

【日向さんの母 ユウコさん(53)】
「『うん』って誘導尋問みたいなんですけども、『うん』じゃないことは絶対『うん』って言わないので…」

幼いころから独自のこだわりが強く、マイペースだったという日向さん。人とコミュニケーションをとることが苦手で、小学4年生のときに社会になじみづらいとされる「広汎性発達障害」と診断されました。
【日向さんの母 ユウコさん(53)】
「ちょっと風が吹いても泣くし、服を脱ぐにも泣くし、着せるにも泣くし…。日常生活のささいなことで本当に火が付いたように泣く。癇(かん)が強い子とか、今の言葉で言うと『育てにくい子』という印象だった」

しかし、そんな日向さんが夢中になったのがこの「数式」の世界でした。ひとり静かに机に向かい、鉛筆の音を響かせます。
小さく、丁寧で几帳面な文字。ときに周囲との壁になることもあった「こだわりが強い」という日向さんの特性は、次第にアートの世界で見る人をひきつけ、輝きを放つようになりました。