いよいよ引っ越し

「元気でね。長い間… 風邪ひかないように」

14年間暮らしてきた施設の職員に見送られ、古山知恵子さんは笑顔で新居に向かいました。

そして1週間が過ぎた頃…。

古山さんは、ヘルパーと一緒に昼食を作っていました。
複数のヘルパーが交代で訪れて、古山さんの生活をサポートしています。

― 楽しそうですね?
「うん」

メニューは自分で考えたそうです。

「小さいころから りょうりばんぐみすきで みていました」

真新しいダイニングテーブルには、豚肉とホウレンソウを使った炒め物や、ワカメとタマネギのお味噌汁などが並びました。

― 自分で作ったご飯、どうですか?
「うん」
― グッド?
「うん」

今は料理や絵を描くことが楽しみだと、笑顔を見せる古山さん。

「一人暮らしをやる前は自分だけの時間がどのくらい持てるのかとかが不安でしたが、結構あり、たのしんでます。まわりの人のたすけや友人の支えでやってこれています」

水俣病と歩んできた61年。
念願の一人暮らしを実現させた古山さんは、“自分らしい新たな人生”を歩み始めたのです。