秋が深まるにつれて心配されるのがクマの出没。
仮に市街地にクマが出没して建物に立てこもった場合にどう対応すべきなのか。
そんな想定のもとで安全な捕獲方法を確認する訓練が、7日に新潟県長岡市の「トチオーレ」で行われました。

新潟県や長岡市の職員と、警察や猟友会のメンバーらが行ったクマへの対応訓練では、市街地に姿を現した大人のクマが、長岡市栃尾地域の施設に立てこもったというケースを想定しました。

【会議に参加した職員】「クマを扉から出さない、部屋から出さないということを大事に考えます。ですので、やる対策としては、クマの進路をふさぎます」

まずは、クマが住宅地に逃げていかないように建物の周囲を車で囲みます。その後、駆け付けた業者が麻酔銃を使ってクマを眠らせ、慎重に捕獲するまでの手順を確認しました。

新潟県内では2019年に、南魚沼市の山あいにある診療所に3頭のクマが立てこもる騒ぎがありました。幸いけが人は出ませんでしたが、捕獲までに26時間を要しました。

【新潟県鳥獣被害対策支援センター 葉葺久尚副所長】「かなり実践的な訓練ができた。実際にクマの出没が起きたときに、本当にスムーズにできるかどうかが1つの課題だと思っていますので、関係者には何回も何回も訓練を繰り返しながら、実際に起きたときには対応できるようにしていただきたい」


新潟県によりますと、2020年度の県内ではクマによる人身被害が過去最多の17件発生し、1人が死亡し20人がけがをしました。昨年度とは1件、今年度もまだ1件にとどまっていますが、出没が増えるこれからのシーズンには警戒が必要だとしています。

【県鳥獣被害対策支援センター 葉葺久尚副所長】「人身被害が最多だった年は、秋口から非常に出没件数も増えています。あわせて人里や住居などにもクマが出没して人身被害が起きていますので、これからが本当に注意」

クマのエサであるブナの実について「今秋は去年よりも若干多い」という観測があるということですが、新潟県ではクマを人里に近づけないようにするために、エサとなりそうな庭先の木の実や畑の野菜くずなどはそのままにしないように呼び掛けています。