青森県十和田市にある廃館した市立新渡戸記念館を巡り、市が新渡戸家側に建物を無償で譲渡する議案を市議会に提案することが分かりました。
新渡戸稲造の史料を展示していた「市立新渡戸記念館」は建物の耐震強度不足を理由に2015年に廃館しました。土地や資料を所有する新渡戸家側は耐震診断に問題があるとした市の廃止条例について取り消しを求めましたが、2019年12月に最高裁が訴えを退け、市はその後、新渡戸家側に建物の明け渡しを求めて提訴するなどしていました。こうした中、市が、裁判所の提案した調停条項案に合意し、開会中の市議会最終日の19日に建物を新渡戸側に無償譲渡することなどを盛り込んだ議案を追加提案することが分かりました。
市によりますと、建物は2024年3月1日に譲渡される予定ですが、記念館として活用するためには新渡戸家側が2015年の耐震診断を踏まえた改修工事を実施する必要があるとしています。新渡戸記念館は「市とのやり取り中の事案のため内容は控えさせていただく」としています。
議案が可決されればおよそ8年に渡った市と新渡戸家側の対立が決着することになります。