こちらのカメラ。一見すると本物と思いますが、精巧に作られた模型で、青森市の男性が作りました。模型作りに没頭する男性、「これほどの幸せはない」と言い切るほど趣味に夢中です。

こちらのオーディオ機器によ~~く目を凝らすと、違和感はありませんか。音量の目盛りが分度器を切り出したものです。そう、本物と見間違うほど精巧に作られた模型でこの部屋に並んでいるのはこうした模型ばかりです。

よ~~く目を凝らすと・・・
音量のメモリが分度器でできています

作ったのは、青森市の佐藤正美さん69歳。

※佐藤正美さん
「ダイヤルは100円ショップで売っている画びょう。これに番号を打っただけです。『本物じゃないけど本物っぽく見える』と言ってもらえるのが、一番うれしい」

14畳の部屋にぎっしりと飾られた佐藤さんの手作り模型。お気に入りの一つはこの自動販売機です。

※佐藤正美さん
「当時コーラ飲料を飲むのが好きで空き缶が何十本とあったので、活用できるかなと思い自動販売機を作ってみました。LEDの電気が細々と点くのもまた良いかなと」

14畳のお部屋には手作りの模型が所狭しと並べられ

青森市出身で自衛官として勤務した佐藤さん。当時、趣味としていたのは、モデルカーの収集でした。60年以上かけて集めたその数は、2500台を超すほどです。それではなぜ、コレクターが物づくりに没頭するようになったのか。

自衛官として勤務していた佐藤さん

転機となったのは6年前です。この部屋ではもともと、奥さんが美容室を営んでいましたが美容室が廃業したことなどで佐藤さんが自由に使えるようになりました。

※佐藤正美さん
「ミニカーの数が多いので、ミニカーを並べるための棚を作ろうというのが(物づくりの)きっかけ。隙間があれば何か作って埋めたい。それが私の信念」

ミニカーを置く棚を作ったところ、アイディアが次々と湧きだし物づくりにはまったといいます。いま、力を入れているのは一眼レフカメラ作りでした。

その手順は一風変わっていて、モデルとするカメラの実物を直接見ることがほとんどできないため、まず、カメラ本体を映した画像を手に入れます。そして、実物と同じ大きさになるよう拡大しながら印刷して部品のサイズを割り出します。このあと、ポイントになるのはいかに本物らしく仕上げられるか。

切り出したCDを使えばレンズのかわりになります。こうした工夫を凝らして作った部品、およそ130個を組み合わせてカメラ1台を仕上げます。

※佐藤正美さん
「毎日、夜に寝る前に自分の作ったカメラを見て感心しながら、眠りにつく生活」

手がけた作品は6年間で124台、膨大な時間と労力を費やしてきましたが、佐藤さんが好きなのはあくまで・・・・。

※佐藤正美さん
「作るのは好きですが、正直に言うと本物のカメラに全く興味ないんです。ごめんなさい」

佐藤さんにとっては、物づくりをしている時間と完成品と触れ合う瞬間が大切なようです。その気持ちが強すぎるあまり、いまでは!