崖っぷちから勇気を持って切り開いた道 幸せと思える選択とは?
周りの応援もあり合格し、晴れて東京芸術大学に入学。そこには今までと違い、
プロに近いレベルの人たちが集まっていた。
伊藤「一つの曲を作り上げるのに何ヶ月もかかるんですけど、芸大の授業に関しては、1時間の授業でそれをなんか三、四回あればもう本番やれるレベルみたいな。もうみんなぱっとできちゃう。それがすごいなって」

ケースからフルートを取り出すことすらつらく感じる時期もあった。ただひたすら頑張る気持ちで踏ん張り、無事に卒業、いよいよプロでやっていこうとしていた矢先、コロナの時期とかぶり、思いもよらない打撃を受けた。
伊藤「まだまだ動かないなって思ったんですよ。なかなかこの混乱コロナは収まらないので、だから今しかできないことしたいなって思って」
コールセンターで働いたり、YouTubeを始めたり、様々なことにチャレンジした。
空いた時間には必ず自分のフルートの練習や演奏の仕事を入れ、フルートとじっくり向き合うことを忘れなかった。
伊藤「たくさん苦労人がいっぱいいるんですよね。だからこそ、美しいものが美しく見えるんだと、何かそういうことなのかなって私は思って」

伊藤がフルートを入れているのは特注の津軽塗りのケース。いつでも心にはふるさとがある。家族も感動する伊藤の音色は魔法そのもの。

伊藤「聴いてもらって、あずましかったじゃって思って帰ってほしいなっては思います」(あずましい=津軽弁で居心地がいい、落ち着く、気持ちがいいなどの意味)
伊藤「青森をPRするようなことをフルートを通して貢献していきたいなと思って。幸せって思えるような選択をするように心がけていったら、もう全部何してても幸せだな」
