クロマグロの漁獲量を報告していなかったとして、青森県大間町の水産会社の社長2人が逮捕された事件。警察は2人と共謀したとして、漁業者4人を漁業法違反の疑いで書類送検しました。一方、不正に流通したマグロが出回った先では混乱が広がっています。
書類送検されたのは漁業者4人で、青森県大間町の水産会社の社長、新田忠明(にった・ただあき)容疑者と佐々木一美(ささき・かずみ)容疑者の2人と共謀して、漁獲したクロマグロ、約18トンを青森県に報告しなかった漁業法違反の疑いが持たれています。警察は、ほかにも18人の漁業者が関わった可能性があるとみています。
漁業者が漁協を通さない「脇売り」が温床となった今回の事件。捜査関係者によりますと、新田容疑者らは、「漁業者が苦しいから」と供述していて、2021年度だけでも報告されていないマグロを98トンを買い上げていたということです。これらが出回った先では、混乱が広がっています。
新田容疑者らの会社と取り引きした静岡市の水産会社は、どういう経緯で出荷されたマグロか、県へ報告済みのものかなどを問い合わせした際、明確な回答がなかったものの、「青森県大間産」などとする産地証明書があったため、報告はされていると信用し市場に卸していたと言います。そのため去年秋ごろ、青森県警から捜査を受けた際、「想定外のことでショックだった」と話しています。
また、静岡市中央卸市場では2021年度、大間産の本マグロを74トン扱っていたとした上で、問い合わせに対しては「疑いのあるマグロが流通していた可能性は否定できないが把握できない」と答えているということです。
そして、大手回転寿司チェーン・スシローは去年、「漁獲枠外のマグロが入っているのではないか」と外部から情報提供があり、出荷元の新田容疑者らの会社に問い合わせたものの、最終的に確認がとれなかったということです。これ以降、スシローでは扱うマグロについて漁獲制限の枠内か、報告済かを確認しているとしていて、次のようにコメントしています。
「しっかりとおいしい料理を調理し、届けるのが仕事で、きちんとした魚が来るのが基本。どうしてこのような事案が発生したのかしっかりと解明し、再発を防止してほしい」
最高級とされる大間ブランドが仇となった今回の事件。今後、さらに影響が広がることも予想されます。