ねぶた師・北村春一さん 怒りを“赤い肌”で悲しみを“青い炎”で表現

続いては、ねぶた師の北村春一さん(44)です。2011年のデビューから15年となる今年、父・北村蓮明さんが長年制作してきた大型ねぶた1台を引き継ぐことを決意し、初めて同時に3台を手掛けました。この偉業をやり切り、あとは出陣を待つばかり。

小野寺紀帆アナウンサー
「今年も躍動感のあるねぶたですね。まずは、題材について教えてください」
ねぶた師 北村春一さん
「題材は、『保元の乱』に敗れた崇徳院の怨霊と後白河院を描いています」

北村さんが制作した3台のうちの1つが、NTTグループねぶたの【崇徳院「血書五部大乗経」】です。

『保元の乱』で敗れた崇徳院は、命を落とした者の慰霊のため、『五部大乗経』を写経して京都の石清水八幡宮に奉納するよう使者に託しましたが、弟である後白河院によって送り返されてしまいました。このねぶたは、怨霊と化した崇徳院の無念の思いを表現し、怒りや悲しみがいつか癒やされ、穏やかな平和が訪れるようにとの願いが込められています。
完成したねぶたを見ると、青い稲妻のような筋が天に向かって伸びています。

ねぶた師 北村春一さん
「これ、炎なんですよ。青い炎をねぶたで表現することは珍しいです。今回は、崇徳院の怒りの感情を赤い肌で表して、それと対比して、悲しみや悔しさといった複雑な気持ちを青い炎で私は表現しています」

小野寺紀帆アナウンサー
「制作していて苦労したのはどんな点ですか?」
ねぶた師 北村春一さん
「一番苦労したの“赤”ですね。ねぶたの色といえば赤はすごく大事な色ではあるんですけど、今回はただの赤じゃなくて少し黒っぽい赤を使うことによって、深みのある表情にしたかったんです。非常にこれが難しかったんですよ。何回もやり直して

そして、『五部大乗経』を写経した巻物も工夫を凝らして制作していました。

ねぶた師 北村春一さん
「これは、本当に写経しました。(骨組みに)紙を貼ってから書きました」

小野寺紀帆アナウンサー
「上の方はどうやって書いたんですか?」

ねぶた師 北村春一さん
「細い足場の上で仰向けになりながら書いて、結構厳しい体勢で書きました。1年がかりで作ってきて、制作者でも夜の運行はたった4日間しか見ることができないので、私にとっても貴重な瞬間でもあるので、ぜひ1人でも多くの人にねぶた祭に参加して、直接現地で見てほしいなと思っています」

北村春一さんが制作したNTTグループねぶたの【崇徳院「血書五部大乗経」】は、2日から7日(木)までの祭り期間中、3日(日)を除いて5日間運行される予定です。