青森県中泊町の旧家「宮越家」の離れにある襖絵「春景花鳥図」。そして、イギリスの大英博物館が所蔵している襖絵「秋冬花鳥図」。一連となっていることが判明した、この2つ襖絵が、このほど同時に楽しむことができるようになります。

中泊町尾別にある旧家「宮越家」の離れ「詩夢庵」。2023年8月、「詩夢庵」の「春景花鳥図」とイギリスの大英博物館が所蔵している襖絵「秋冬花鳥図」が、一連となっていることが判明しました。

1600年ごろに制作された2つの襖絵は、奈良県にある神社が所蔵していましたが、1870年ごろの仏教の弾圧でバラバラに。

宮越家9代目当主の正治さんが「春景花鳥図」を東京で購入し、町に持ち込んでいました。

宮越家 現当主 宮越 寛さん
「幼少のころの記憶をたどると、離れは『開かずの間』で、悪さをすると閉じ込められる『反省部屋』のようなところでした」

今回展示される「秋冬花鳥図」は、日本の文化財の複製を行うプロジェクトで2017年に高精細複製されたものです。

複製品とはいえ、2つの襖絵が一体となって設置されるのは実に150年ぶりです。

調査を担った研究員の山下善也さんは「同じ大きさで比較できる今回の展示は意義が大きい」と言います。

美術史家で調査を実施した 山下善也さん
「雁が2羽遠くから飛んできて、だんだん大きくなって着地していく。ここから始まって、たどっていったときに違和感なくつながっていると感じられたので、ホッとしている」

2つの襖絵を同時に見られる春の一般公開は、23日(金)に初日を迎えます。
(『宮越家 春の一般公開』は5月23日~6月29日まで)