山岳史上、最大の遭難事件として語り継がれる「八甲田雪中行軍」の経路をたどる陸上自衛隊の演習が行われ、隊員約500人が冬山を踏破しました。
倉島彩能 記者
「たった今前進の合図が出ました。自衛隊員たちは、八甲田演習のスタート地点『小峠』を出発していきます」
新人20人を含む約500人が参加した陸上自衛隊第5普通科連隊の演習では、それぞれが20kgの装備品を背負い、敵に見つからないよう静かにスキーで行進します。
演習は1902年、旧陸軍の歩兵第5連隊、210人のうち199人が犠牲となった「八甲田雪中行軍遭難事件」を教訓に、寒冷地での技術向上を目指し、当時の経路の一部をたどります。
気温-20℃、風速30mの猛吹雪だった当時とは違い、21日は天候に恵まれましたが、スキー技術を要する冬山の訓練で新人隊員たちも約3時間かけて8kmの道のりを踏破。任務遂行への自信を養いました。
初参加の新人隊員 工藤竣矢 1等陸士
「(スキーは)後かがみにならないとか、足首を曲げることを意識して滑ることができた。今日の経験を生かして(来年以降)後輩にアドバイスができたらいい」
第5普通科連隊長 伊藤裕一 1等陸佐
「(なだれの危険性があり)本来のコースは行進できなかったが、そういった中でも積み上げてきた練度をしっかりと訓練で発揮できたと認識している」
このあと幹部隊員が、雪中行軍の犠牲者を偲ぶ像の前で追悼の意をささげ敬礼し、積雪寒冷地部隊として平和と安全を守り抜くことを誓いました。