青森県内の優れたものや取り組みに迫るキラリ逸品です。
布を折り紙のように折って作る「つまみ細工」。制作している三沢市の女性は作品を手にした人たちの笑顔を励みにしています。


小さな布をピンセットでつまんで折りたたむ。この工程を何度も何度も繰り返して出来上がるのは、花びらの形です。「つまみ細工」は、江戸時代中期頃から伝わる日本の伝統工芸です。


「つまみ細工」江戸時代から伝わる日本の伝統工芸


この鮮やかな黄色が映えるひまわりのコサージュも「つまみ細工」の作品。制作したのは三沢市在住の工藤由紀子さんです。

つまみ細工を手がける工藤由紀子さん


※工藤由紀子さん
「ふと目にした画像で“おもしろい、きれいだな”というところから自分も作ってみたいなと。つまみ細工には、丸つまみと剣つまみという基本があって、それをいろいろ工夫してバリエーションが広がっていくおもしろさ楽しさ。」

見た目の美しさや生地の丈夫さから、布はきめの細かさが特長の“ちりめん”が使われます。



※工藤由紀子さん
「まず先端に(接着剤を)つけて半分に折ります。くっつけたところからまた折ります。これをひっくり返して広がっているほうから上にあげます。これが“丸つまみ”です。つぎは“剣つまみ”。先ほどと同じように先端にちょっと接着剤をつける、ずれないためです。下から上に持っていって先端をくっつける。剣つまみは、折って折っていくので輪はできない」

ピンセットを使いながらの細かい繊細な作業


『丸つまみ』は輪ができて丸みを帯びたかわいらしい雰囲気に、『剣つまみ』は層になっていて凛とした印象になります。

病気をきっかけに出会った“生きがい”


工藤さんと「つまみ細工」の出会いは4年前。『線維筋痛症(せんいきんつうしょう)』という日本でも約200万人いるとされ、全身に激痛が走る原因がわからない、根本的な治療方法もない病気がきっかけでした。

※工藤由紀子さん
「血管の中をガラスが走っているような感じ。とにかくうずくまって痛みを我慢するしかない」

仕事を辞めざるを得なくなり、自宅で過ごす時間が増えたとき、インターネットで偶然見つけたといいます。

※工藤由紀子さん
「つまみ細工を作ってのめり込んで。ただ、根を詰めるとその分反動がある。浮き沈みがある。天気もある。そういう理由から作品はできたり、できなかったり…」

作品と向き合える時間は決して多くはなく、調子が悪い日は1日中ベッドで過ごすこともありますが、友人にプレゼントして喜ばれると、それが次の作品を作る原動力になっています。少しでも調子がいい日は次々と作品を生み出します。



この日の題材は夏を彩る「ひまわり」です。つまみ細工の制作はスピーディーかつ正確に。接着剤が固まると動かなくなるため、花びら一枚一枚を調整しながら丁寧に貼っていきます。手先の器用さと高い集中力が求められる作業です。

※工藤由紀子さん
「Q.つまみ細工は工藤さんにとって?)生きがい、生きる道しるべ。限りはあるかもしれないですけどその限りを大事に一分一秒、(見た人が)ほっこりするような作品を作り続けていけたら」

つまみ細工を語る笑顔の工藤さん


この4年で集めた50種類以上の色とりどりの生地。そのコレクションを見せてくれる表情は、ひまわりのように晴れやかです。「つまみ細工」は、工藤さんの生きがいであり、手にした人に笑顔を届ける逸品です。

笑顔を届ける工藤さんのつまみ細工



工藤さんの作品は、十和田市の喫茶店「花曜日」で展示・販売されています。