男子200m準決勝は日本人3人目のファイナリストに挑戦する上山紘輝(23・住友電工)と、決勝でメダル独占の可能性がある米国勢に注目したい。
■5日目(日本時間20日)の決勝種目と日本選手出場予定
9:40【女子走高跳決勝】
10:33【男子円盤投決勝】
10:50【男子200m準決勝】上山紘輝、飯塚翔太
11:30【男子1500m決勝】
11:50【男子400m障害決勝】
上山は予選1組2位で危なげなく通過した。20秒26(+1.0)は自己新であるだけでなく、世界陸上で日本人が出した2番目の記録で、決勝進出の期待が一気に膨らんだ。世界陸上の日本人最高は、03年パリ大会で銅メダルを取った末續慎吾が同大会準決勝で出した20秒22(±0)である。
この種目ではサニブラウン・アブデル・ハキーム(23・タンブルウィードTC)も、17年ロンドン大会決勝に進んで7位に入っている。サニブラウンのロンドン大会での最高タイムは準決勝の20秒43(-0.3)だった。
上山の予選は2人の先輩の記録と同レベルだが、決勝進出ラインは大会によって変わる。昨年の東京五輪は着順通過の最低記録が20秒13(-0.2)で、タイムで通過した選手の最低記録が20秒10(+2.0)だった。東京五輪は記録が量産された大会なので比較しにくいが、19年世界陸上ドーハも着順通過が20秒24(-0.1)でタイム通過が20秒20(-0.3)だった。
上山が準決勝を通過するには、さらに0.1〜0.2秒、自己記録を更新する走りが求められそうだ。
200m予選のアメリカ勢は全開の走りではなかったが、前回優勝のN.ライルズ(25)、大会2日目の100m金メダルのF.カーニー(27)、若手注目株のE.ナイトン(18)が出場したそれぞれの組を1位で通過した。
100m通過タイムが主催者から公表された。前半通過タイムと後半所要タイムの比較から、各選手の特徴がデータとしても表れた。
E.ナイトン:3組(+2.1)1位・20秒01=10秒36+9秒65
F.カーリー:5組(+0.4)1位・20秒17=10秒63+9秒54
N.ライルズ:7組(-0.3)1位・19秒98=10秒50+9秒48
上山紘輝:1組(+1.0)2位・20秒26=10秒49+9秒77
ナイトンの強さは前半で、予選は全力には見えなかったが、100m通過は全選手中一番速かった。後半は3人の中で最も遅いが、全力は出していない。準決勝でナイトンの後半の走りを注目して見たい。
カーリーの100m通過は組の中でも4番目で、完全に力をセーブした。だが、全米選手権でも前半はナイトン、ライルズに大きく出遅れていた。19年までは400mが専門で世界陸上ドーハでも銅メダルを取ったが、昨年の東京五輪銀メダル、今大会金メダルと100mが強くなった。以前のカーリーなら200mの前半で後れる展開も当然だが、100mのスピードが上がった今は、200mにどう生かすべきか迷っている印象がある。準決勝では前半からスピードを上げる200mにトライしてほしい。
そしてライルズだが、前半はそれほど速くない。だが後半は、少し目を離すとあっという間に前との差をつめてくる。全米選手権でもホームストレートの中盤まではナイトンに2mほどリードされていたが、残り20m付近で逆転した。
アメリカの金メダル候補3人が、決勝に向けてどんなレースを試してくるか。200mの準決勝は前後半のスピードに着目して見ると面白いだろう。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)
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