能登半島地震の被災地では、いまだ1万人以上が避難生活を送っていますが、先の見えない生活の中で、子どもたちへの精神的なケアも大きな課題となっています。1組の親子を取材しました。

石川県珠洲市の避難所で生活を送っていた宮口智美さん。電話の相手は遠くに住む一人息子の翼くん(10)。静岡県の親戚に預かってもらっていました。

珠洲市の避難所で生活 宮口智美さん
「子どももちょっと様子がおかしいなっていうのに私も気がついて、ここから一旦出した方が絶対にいいよということで」

自宅が被害を受けた宮口さん一家は、発災直後から近くの小学校に避難していましたが、翼くんの様子は日に日に変わっていきました。

珠洲市の避難所で生活 宮口智美さん
「(ある時)1人でホワイトボードに国の名前をいっぱい書き続けていて、何かあまりしゃべらなくなったというか」

宮口さんは翼くんの心に負担がかかり過ぎていると感じ、発災から4日後、親戚に預けるという決断をしたのです。

静岡県に行ってから2週間ほどの様子です。避難所生活のストレスから解放された翼くんは、徐々に元気を取り戻しているようでした。

珠洲市の避難所で生活 宮口智美さん
「普段の息子に戻ったなと思っている」

感受性が強い子どもにとって、災害時の心のケアは特に重要な課題で、被災地では地元のNPOなどが子どもの居場所づくりに励んでいます。

実際に被災地で心のケアを行った医師は、少しでも早く子どもの変化に気づくことが大事だと話します。

静岡県立こころの医療センター 大橋裕 副院長
「一番は周りの大人たちがいくつかのサインに気づいてあげること。気づいたら、すぐに寄り添ってあげるということが大事」

小学校再開のタイミングで翼くんが珠洲市に帰ってきました。被災地でのストレスは子どもにとって負担ですが、親と離れ離れになることも心に変化をもたらします。

子どもたちにとっての最善策とは何か。震災によって大人たちに課題が突きつけられています。