2023年の10-12月期決算発表がピークを迎え、トヨタ自動車を筆頭に好調な決算が相次いでいます。
3月までの通期決算見通しも上方修正する企業が目白押しです。
その一方、賃金は物価に追いつかず、2023年の実質賃金は2.5%もの大幅な減少となりました。企業と家計で経済の風景は、かなり違っています。

トヨタの純利益は初の4兆円台へ
トヨタ自動車は6日、2024年3月期の純利益について、4兆5000億円になるとの見通しを明らかにしました。
これまでの予想を5500億円も上方修正したもので、年間純利益が4兆円を突破するのは初めてのことです。
グループ内のダイハツや豊田自動織機の認証不正による出荷見合わせでグループの世界販売台数は幾分引き下げたものの、売上高は43兆5000億円と過去最高を見込んでいます。
絶好調と言ってよい業績は、得意の原価低減に加え、ハイブリッド車など採算性の良い車の販売増など、まさに「トヨタの強さ」の賜物ですが、為替の円安効果や、インフレを受けた値上げの効果など、外部環境も貢献しています。
円安と価格転嫁で業績の上方修正相次ぐ
トヨタほどではないにしても、輸出企業を中心に好決算が相次いでおり、SMBC日興証券のまとめによれば、8日時点でTOPIX採用企業の957社の2023年4-12月期の決算は、売上高が前年比6.2%増加し、純利益は22.2%もの大幅な増加になっています。
24年3月期の純利益の見通しも、上方修正が194社なのに対し、下方修正は91社にとどまっていて、全体の増益率は15.2%に達しています。
輸出企業の好業績の大きな要因は円安です。海外での販売や利益の額が、円建てでは円安のおかげで大きくなることが効いています。
またインフレによって、国内外ともに販売価格そのものを値上げすることが可能になっており、価格転嫁ができているからです。
つい最近までデフレマインドを引きずっていた日本国内でさえ、値上げラッシュのおかげで、「価格転嫁はもう十分やれた」といった声が漏れ聞こえてくるほどです。