第52回全日本実業団ハーフマラソンが2月11日、山口市の維新みらいふスタジアムを発着点とする21.0975kmのコースで行われる。女子は新たなスター選手が誕生しそうな予感だ。パリ五輪5000m出場を目指す樺沢和佳奈(24、三井住友海上)と、昨年のプリンセス駅伝3区区間賞の酒井美玖(21、肥後銀行)への期待が高い。ハーフマラソンの実績のない2人が、いきなり優勝する可能性もありそうだ。昨年の大阪ハーフマラソン優勝の飛田凜香(23、第一生命グループ)、前回6位の唐沢ゆり(28、九電工)、大塚製薬期待の西谷沙綾(22、大塚製薬)らも加わり、熾烈な争いが展開される。
(※写真は左から酒井、樺沢、飛田)
酒井が主導権を握る可能性も
女子は1時間10分を切る資格記録(自己記録ではなく最近の記録)を持つ選手が不在で、誰がレースの中心になるかわからない。先頭集団を引っ張る選手がいなければ、駅伝で実績のある酒井美玖の動きがカギを握るかもしれない。
酒井は高校3年時の全国高校駅伝1区区間賞時に、区間2位を22秒も引き離して長距離関係者を驚かせた。実業団1年目(21年)のクイーンズ駅伝1区で区間4位。2年目は故障が多く結果を残せなかったが、3年目は10月のプリンセス駅伝3区区間賞、今年1月の全国都道府県対抗女子駅伝1区区間3位と好成績を続けている。
ハーフマラソンは初出場で、記録的な目標は設定していない。具体的なレースプランも「行けるところまで先頭集団でついて行く。15km以降が勝負になる」(肥後銀行・小出優希コーチ)と、細部まで想定しているわけではない。
だが酒井のロード適性を高く評価する長距離指導者たちは多く、「酒井が中心の展開になる」という声も出ている。小出コーチも「15kmまでは力を温存すると思いますが、本人が行けると思ったら行くと思う」と話す。酒井が走りながら、ここと感じたら前に出る可能性はある、ということだ。それが15km以降なのか、もっと前の地点になるのか。
ハーフマラソン出場の目的は、春先のトラックの記録につなげること。現時点では5000mで15分10秒、10000mで31分20秒程度をイメージしている。だが目標タイムはこの冬の練習やレース結果で変えていく。
パリ五輪の標準記録(14分52秒00と30分40秒00)は難しいが、今大会の結果次第で来年の世界陸上東京大会が視野に入ってくるかもしれない。

















