救済に時間を要するのはなぜ? 関係者が明かす内情

 救済をより迅速化することはできないのだろうか。厚労省に取材を申し込むと文書でこう回答があった。

 【厚生労働省・予防接種課】「予防接種健康被害救済制度は、市町村に申請され、都道府県経由で国に進達されます。国に進達されるに当たっては、まず、申請を受け付ける市町村が設置している予防接種健康被害調査委員会において、審査に係る資料収集等の調査を行うこととされており、当該調査に要する期間は各市町村によって異なること等から、『申請から進達までの期間』のお答えは困難です。その上で、国への進達以後の期間をお答えすると、国へ進達されてから審査を経て認定されるまでの期間は、通常、半年から1年程度の期間を要しています。進達があったものについては、個々の事例ごとに専門家による審査が行われますが、その審査に当たっては、医学的・科学的知見を踏まえた上で、予防接種と健康被害との因果関係について審査を行う必要があり、申請者や医療機関等から提出された診療録等の資料・情報を詳細に確認する必要があることから、一定の時間を要しております。新型コロナワクチン接種後の健康被害については、予防接種法に基づく健康被害救済を迅速かつ適切に実施することが重要であることから、・審査会の開催頻度の増加・審査会の増設・事務局機能の増強、などの取組を行っており、引き続き、迅速な救済に取り組んでまいります」
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 厚労省のワクチン分科会で後遺症の認定などに携わる東京医科歯科大学の森尾友宏教授は内情をこう明かす。

 (森尾友宏教授)「2022年10月~12月の3か月と直近の3か月を比べると、約4倍の量の申請に対応できるような体制になっています。審査会・分科会の数を増やし、事務方の数を増やし、会議の頻度を増やして、必ず審査をお待たせしない状況で対応できるようになる」