■世界陸上オレゴン・4日目(日本時間18~19日・米オレゴン州・気温10.3度・湿度85%)

世界陸上4日目は、女子マラソンが行われ、同種目では初出場の松田瑞生(27)が2時間23分49秒の9位でフィニッシュ。野口みずきが2003年パリ大会(2位)で記録した、世界陸上日本人最高タイムの2時間24分14秒を19年ぶりに更新した。前回大会の谷本観月(7位)に続く日本選手2大会連続の入賞とはならなかったが、終盤粘りの追い上げをみせ9位まで順位を上げた。出場予定だった新谷仁美(34)と一山麻緒(25)が、現地で新型コロナウイルス陽性判定を受け欠場となり、日本選手唯一の出走となった。金メダルは大会新記録となる2時間18分11秒をマークしたエチオピアのG.ゲブレシラシエ(27)だった。

2017年ロンドン大会(10000m)以来の世界陸上出場となった松田が、今大会マラソンで世界の舞台に立った。スタート時の気温は10.3度と肌寒い中、40人でレースがスタート。レース序盤は前回女王・チェプンゲティッチ(27・ケニア)ら18人の集団が引っ張り、2km地点で1km3分17秒前後のハイペースとなった。松田は2.5km付近で集団から離れはじめ、一人でレースを運ぶ単独走となったが、5km地点で16分43秒と、自己記録の2時間20分台でゴールするペースで力強い走りをキープ。

10km地点を32分39秒で通過した先頭集団は、ケニア勢、エチオピア勢それぞれ3選手を含む8人に絞られ、ゴール予想2時間17分台と異例のペースで進んでいった。松田は33分30秒で通過し、先頭と51秒差の16位。

一時は先頭と1分近い差があった松田だが、周回コースの2周目・14km地点では35秒差と徐々に縮めていった。18km過ぎたあたりでチェプンゲティッチがコースから外れ脱落。一方、松田は前の集団が見え始め、20km地点は13位で通過、自分のペースを守り一人ひとり確実に捕らえ順位を上げていった。

折り返し地点は1時間10分38秒の12位。さらに入賞ラインの8位集団も見えはじめ、32km以降は手前のアメリカ選手との差を徐々に縮めると、上位集団のエチオピア、ケニアの2選手が離脱。自身のペースを保ちながら松田は10位に上がると、36.5km過ぎたところで9位に。勝負の残り5kmからは粘りの走りを見せ、40kmすぎで前を8位で走る選手を捉えるもスパートされ及ばなかった。

大健闘の9位も、レース後松田は「たくさんの方に支えてもらってサポートしていただいて立てたスタートラインですが、期待に応えることができず申し訳ございませんでした」と涙ながらに頭を下げた。「やっぱり・・・世界は強かったです。この悔しさを糧に次また勝てるように、世界の猛者と戦えるように、いちから頑張りたい」と声を振り絞り、最後に再び「本当に有り難うございました。すみませんでした」と頭を下げた。

東京五輪では涙の代表落選を経験した松田。「心の支え」だという母・明美さん、ダイハツの山中美和子監督と共に目指した世界陸上だった。直前で新谷、一山が欠場となり、代表のプレッシャーを一人で背負ったが、最後まで激走を見せた。

【女子マラソン結果】
金メダル G.ゲブレシラシエ(27・エチオピア)2時間18分11秒 ※大会新記録
銀メダル J.J.コリル(26・ケニア)2時間18分20秒
銅メダル L.C.サルピーター(イスラエル)2時間20分18秒
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9位 松田瑞生 2時間23分49秒