◆心を許しあうからこそ

子供たちが住む家

実は昨晩(2月5日)、田原さんのお宅で夕食を食べる時間にお邪魔したんです(田原さんへのインタビューは1月)。子供たちも「お父さん、お父さん」って。元気いっぱいで、面白かったですよ。しかも、やんちゃ盛りで男ばかり。大変みたいでした。

田原:親が育てられない間、責任を持って育てていくのが僕の役割だと思っています。でも気持ちとしては、“あなたたちを育てたお父さん”というのは、村を出てからも変わらない。思いとしては「育てたお父さんだよ」って。「お前なんかお父さんじゃねえ」とよく言われるけど(笑)
神戸:そんなこと言われるんですか?
田原:「お前の言うことなんか聞くか」みたいな感じで。エエーって言ってきたと思ったら、5分後に「お父さん、一緒にお風呂入ろう」とか言って。ワーワー言ったら、「嫌われないかな」と思って聞いてくるんですね。「お父さん、どうせ僕のこと嫌いやろう、嫌いやろう?」って。「だけん、いつも言いよるたい。あなたの言葉は好かんけど、あなた自身は嫌いじゃありません。あなたを最後までちゃんと育てるけん」て。最近はワーッて言って「お前が、クソが、こんちくしょうが、お前がいかんのやっかー!」みたいなこと言ってくるから、「え、ちょっと待って。どっちが悪いと思う?」「……僕です」って。少し冷静になれるようになってきた。でもまた、ワー。「お父さんもう疲れました、あなたのギャーギャーで」って。
神戸:どんなことを言っても全面的に認めてくれるという安心感がある前提の発言でしょうね。
田原:見放さないというか、安心感はあるんだと思います。「言っても大丈夫」って。「……わかった、もう言わんけん」と言った次の日に、ワー!。「昨日、言わんと言ったやん?」て(笑) そんな毎日ですね。

◆「結婚願望は普通にありますよ」

節分で本格的な鬼に扮した田原正則さん

田原さんは独身。夢はあるのだそうです。

田原:まあ、結婚願望が普通にあるので、「どこかでいい出会いがあればいいな」と思って、今でもたまに婚活に行ったりとかするんです。結婚できればもっと楽しくなるだろうな、と思っているんですね。
神戸:もし婚活が成功したら、この里親生活の中に入ってもらうということになるんですよね?
田原:そうです、だからハードル高いんですよ。
神戸:結婚した瞬間に4人の子持ちになる、ということでもありますよね。
田原:そうそう。断られる文句としては「その後の生活の想像がつかない」。でも期待を持ちつつ、でも落ち込まずみたいな。出会いがあれば、「一緒にやってもらえたらいいな」とは思っているんですね。

なかなかハードルは高いとは思いましたけど、前向きでしたよ。「子どもの村」で子供たちと暮らしながら、自分もしっかり生きていかなければいけないし、子供たちもわかっていて「お父さん」に接し、そこに信頼が生まれ、日々深めているのでしょう。非常にほほえましく「良い親子関係だな」と思いました。

◆神戸金史(かんべ・かねぶみ)

1967年生まれ。毎日新聞に入社直後、雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。報道部長、ドキュメンタリーエグゼクティブプロデューサーなどを経て現職。近著に、ラジオ『SCRATCH差別と平成』やテレビ『イントレランスの時代』の制作過程を詳述した『ドキュメンタリーの現在 九州で足もとを掘る』(共著、石風社)がある。80分の最新ドキュメンタリー『リリアンの揺りかご』は3月30日、TBSドキュメンタリー映画祭・福岡会場で上映予定。