慢性的な運転手不足とドライバーの時間外労働の規制が強化される2024年問題を受け、盛岡市に本社を置くバス会社「岩手県交通」は4月に大幅な減便を含むダイヤ改正を行います。対策に追われる現場を取材しました。

1月24日、岩手県交通は慢性的な運転手不足に伴い4月のダイヤ改正で県内の路線バスの平日の運行本数を294便、率にしておよそ12%減らすと発表しました。
記録が残る2012年以降、過去最大規模となる減便に利用者は。

(バス利用者)
「今の時点で帰りのバスがそれぞれ1本ずつ減っているので、もしかしたら帰りの時間に間に合わないのかが心配です」
「私たちはまだ車を運転できないので通学にはとても必要だと思います。若者の担い手が増えるといいなと思っています」(高校生)

岩手県交通の乗合自動車部です。およそ400人のバス運転手の勤務を一元管理しています。一人ひとりの乗務する路線、待機時間、出勤・退勤時間が文字通り分刻みで定められています。

慢性的な運転手不足に加えて来年度始まるドライバーへの時間外労働の規制強化、いわゆる「2024年問題」。県交通乗合自動車部の浦部和之部長は、翌日の勤務までに必要な休息時間が8時間から11時間に延長されることが最も影響が大きいといいます。

(岩手県交通 浦部和之 乗合自動車部長)
「朝の通勤通学のために、朝5時半すぎになると運転手が続々出勤してきます。この5時半出勤に間に合うためにはですね、11時間というと、前の日18時半には退勤しないと5時半に出勤できないということになります」

バスの運転手を確保するため、県はバス事業者に対しての経費補助を来年度予算案に盛り込んだほか、盛岡市も1月から県バス協会の運転手の雇用促進に向けた情報発信に補助を行っています。

こうした苦境の中、とんでもない事件が起こりました。

去年12月28日、盛岡市の松園バスターミナルに停車中のバス車内で暴行事件が起きました。乗車してきた40代の男がいきなり運転手に殴りかかってきたのです。男はその場で乗客に取り押さえられ、逮捕・送検されました。運転手の男性にけがはありませんでした。

(岩手県交通 盛合克典 安全管理部副部長)
「こうした時代ですので今後もあるかもしれません。私どもとしては運転手がより安全に安心して働ける環境を整えていくとともに、会社としてもしっかりとした対応を継続していきたい」

慢性的な運転手不足に加えての2024年問題。市民の足を維持するためにギリギリのやりくりが続いています。