3日目最大の注目は男子砲丸投で世界記録が誕生するか否か。

■3目日(日本時間18日)の決勝種目と日本選手出場予定
3:05【男子400m予選】佐藤風雅、川端魁人、ウォルシュ・ジュリアン
3:35【女子ハンマー投決勝】
5:00【男子10000m】田澤廉、伊藤達彦
9:05【男子110mハードル準決勝】泉谷駿介、石川周平
9:25【女子棒高跳決勝】
10:03【男子400mハードル準決勝】黒川和樹
10:27【男子砲丸投決勝】
11:30【男子110mハードル決勝】泉谷駿介(※)石川周平(※)
11:50【女子100m決勝】
22:15【女子マラソン決勝】松田瑞生、新谷仁美
(※)準決勝を通過した場合


23m37の世界記録保持者で東京五輪金メダルのR.クルーザー(29・アメリカ)、19年世界陸上ドーハ大会金メダリストで22m91(世界歴代4位)を持つJ.コヴァクス(33・アメリカ)、17年世界陸上金メダリストで22m90(世界歴代6位)を持つT.ウォルシュ(30・ニュージーランド)の3人に可能性がある。

なかでも一番の期待は、東京五輪でも自身の世界記録に7cmと迫ったクルーザーだ。23m台を過去6試合で投げているが、そのうち世界記録を含む3試合がヘイワードフィールドだった。
大会初日の予選は22m28で通過したが、世界陸上と五輪の予選で出た記録としては過去最高である。クルーザーは「トレーニングは肉体的にも精神的にも順調で、自分が望んだ技術ができています。決勝ではどこまで投げられるか楽しみです」と自信を持っている。

女子100mはジャマイカ勢3人の対決が白熱しそうだ。
ドーハ大会金メダリストで今季世界最高の10秒67を2試合でマークしているS-A.フレイザー プライス(35・ジャマイカ)と、東京五輪100m&200m2冠のE.トンプソンヘラ(30・ジャマイカ)、そしてジャマイカ選手権で優勝したS.ジャクソン(28・ジャマイカ)の3人がメダル独占をするかもしれない。

ジャマイカトリオに割って入るとしたら、10秒84(+1.2、5組1位)の予選最高タイムをマークしたD.アッシャースミス(25・イギリス)だが、予選のジャマイカ勢3人は明らかに抑えて走っていた。決勝の2時間半前に行われる準決勝を見てみないと予測は難しい。だが、少し抑えた走りでも予選を10秒87(-0.2、3組1位)で走ったフレイザープライスに余裕が感じられた。

フレイザープライスは同じジャマイカで、男子100m&200m世界記録保持者のU.ボルトとは同じ86年生まれ。08年北京五輪100mが初の世界一だった点も同じである。ボルトが17年の世界陸上ロンドン大会を最後に引退したのに対し、フレイザープライスは17年の出産を経て18年に競技に復帰。21年には10秒60(世界歴代3位)と自己記録を更新した。

35歳のママさんスプリンターであるフレイザープライス、100m&200mで史上初の五輪連続2冠を達成したトンプソンヘラ、19年までは400mが専門だった(世界陸上ドーハ銅メダル)ジャクソンと、特徴あるジャマイカトリオの対決が興味深い。

日本勢では女子マラソンへの注目度が高い。東京五輪8位入賞の一山麻緒(25・資生堂)は新型コロナ感染のため欠場するが、松田瑞生(27・ダイハツ)と新谷仁美(34・積水化学)の2人にも入賞が期待できる。

男子10000mには田澤廉(21・駒大)と伊藤達彦(24・Honda)が登場する。自己記録は田澤が27分23秒44で伊藤が27分25秒73。2日目の女子10000mは気温が20度と涼しくなったこともあり、今季世界最高がマークされた。気象条件次第だが男子も速いペースになれば、26分11秒10の世界記録を持つJ.チェプテゲイ(25・ウガンダ)たちのペースに付くのは難しい。日本の2人は速いと感じた時点で自分のペースに切り換え、日本記録の27分18秒75を目標に走るだろう。先頭争いから後退してきた選手を終盤で追い抜き、順位を上げていくこともできる。

110mハードル予選の泉谷選手
男子110mハードルは準決勝と決勝が行われ、準決勝には2日目の予選を通過した泉谷駿介(22・住友電工)と石川周平(27・富士通)が出場する。男子400mハードルも同様に、2日目の予選を通過した黒川和樹(21・法大)が出場する。なかでも昨年13秒06の日本記録、シーズン世界5位記録を出した泉谷には決勝進出を期待したい。

東京五輪の泉谷は準決勝でハードルを何台も引っかけ0.03秒差で決勝進出を逃したが、13秒2台を出せば確実に準決勝を通過できる。

しかし大会2日目の予選は13秒56(+0.4)。タイムが遅かったのは気温が低くなった影響だが、着順が3組3位と良くなかった。

「もう少し攻められたかな。ハードルへの突っ込みもインターバルの走りも、落ち着いた中でももう一段階攻めることができたら準決勝を通るのかな、と思います」

この種目で決勝進出が実現すれば、世界陸上、五輪を通じて日本人初の快挙となる。