『足湯』につかる被災者に優しく語りかける

 到着するとすぐに、“ある準備”にとりかかります。「足湯」です。東洋医学を学んでいた吉椿さんが阪神・淡路大震災の時から29年続けている支援の1つです。
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 (吉椿雅道さん)「足湯ってお湯に足をつけるだけなんだけど、被災者の人が…僕らは『つぶやき』と呼んでいますけど、心に溜まってるものを吐き出すことに意味があると思ったので。皆さんいろんなものを(胸に)詰めている」
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 早速、80代の女性がやってきました。地震が発生した日からここで避難生活を続けています。足湯に入ってもらうと、手のマッサージも行います。そして、優しく語りかけます。

 (吉椿さん)「立派な手ですね。農業か何かやっていたの?」
 (女性)「田んぼと畑をやっていた。82歳まで田んぼして、畑は今でもやっている。食べる分だけ」
 (吉椿さん)「食べる分だけ作ってるんですね。何を作ってるの?」
 (女性)「玉ねぎとか、ほうれん草、大根や白菜、ジャガイモ」

 約10分間、女性の声に耳を傾けます。すると次第に…

 (女性)「親戚も周りにいて良かったけど、出ていってしまった。いとこもバラバラに、ここから出ていってしまった。地震の日に一緒にここに来たんやけど。子どものところに行った方がいいって言われて、行ったみたいやけど」
 (吉椿さん)「離れたくないもんですか?」
 (女性)「やっぱり近いところにいたいです」
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 (80代の女性)「どうしようどうしようとため息ばっかり出ていた。ここまで遠いところから来てくださって、足がぽかぽかして体も温まるし、ありがたいです」
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 その後も途切れることなく、人が訪れます。

 (吉椿さん)「自分でどこか逃げて?車とか?それは大変やったね」
 (女性)「びっくりやね。長いよね、余震がね」
 (吉椿さん)「そうやね、何回も余震がね。夜は眠れてます?」
 (女性)「まぁまぁ」

 (吉椿雅道さん)「足湯してると、会話は10分なんですが、いろんなことが見えてくる。ここに足湯で会話していく中で地域のことが見えてくるし、そこから僕たちができることは何か考えていきたいと思います」