史上初のアメリカ開催となった世界陸上が16日(日本時間)に開幕した。大会初日から日本人金メダリストが誕生する可能性が高い。

■第1日(日本時間16日)の決勝種目と日本選手出場予定

2:10【男子走高跳予選】真野友博、赤松諒一
3:45【混合4×400mリレー予選】日本
5:10【女子20km競歩】藤井菜々子、岡田久美子
7:10【男子20km競歩】山西利和、髙橋英輝、池田向希、住所大翔
9:15【男子3000m障害予選】三浦龍司、青木涼真、山口浩勢
10:00【男子走幅跳予選】橋岡優輝、山川夏輝
10:10【女子1500m予選】田中希実、卜部蘭
10:50【男子100m予選】サニブラウン、坂井隆一郎
11:50【混合4×400mリレー決勝】日本(※)
(※)予選、準決勝を通過した場合


男子20km競歩には前回ドーハ大会金メダルの山西利和(26・愛知製鋼)と、東京五輪銀メダルの池田向希(23・旭化成)が出場する。東京五輪金メダルのM.スタノ(30・イタリア)は35km競歩に回った。日本選手同士の金メダル争い、五輪を通じても初めてとなる日本選手のワンツーフィニッシュがあるかもしれない。

女子20km競歩も東京五輪金メダルのA・パルサミーノ(イタリア・30)がエントリーされていない(故障という情報もある)。前回は劉虹(中国・35)の金メダルを筆頭に中国勢がメダルを独占した。中国勢の6連覇が有力になってきた。
日本からは前回6位の岡田久美子(富士通・30)と同7位の藤井菜々子(エディオン・23)が、連続ダブル入賞を目指す。シーズンベストでは藤井が7位、岡田が8位。可能性はある。

予選ラウンドになるが男子3000m障害に三浦龍司(20・順大)、男子走幅跳に橋岡優輝(23・富士通)、女子1500mに田中希実(22・豊田自動織機)と、昨年の東京五輪に入賞したトリオが登場する。
三浦と田中は東京五輪の予選で日本新をマークした。今年も日本記録を、と欲張る必要はないが、東京五輪の予選を通過したタイム(着順ではなくタイム上位選手の中の最低記録)は男子3000m障害が8分17秒31、女子1500mが4分05秒63。特に田中は今季のシーズンベストが4分06秒35。開幕前日会見で「明日の1本に全力を注げるように」と田中も気を引き締めている。

新たなチャレンジをしようとしているのが橋岡で、決勝にピークを合わせるために予選は完全に調整しないで出場する予定だ。近年の五輪&世界陸上では予選を突破した日本のフィールド選手の多くが、決勝で記録を落としている。東京五輪の橋岡は予選全体で3番目の記録だったが、決勝は8m10(±0)で6位だった。
予選を全力で戦わないと通過できないからだが、今季の橋岡は全力でなくてもそれなりの記録を跳ぶことができる手応えがある。森長正樹コーチによれば、「ウォーミングアップの力の入れ方や、1本1本の気持ちの入れ方」を抑えめに行う。
東京五輪予選は1本目で8m17(+0.4)を跳び、予選通過記録として設定された8m15を超えた。だがその記録を超えた選手は3人だけで、7m96の選手まで予選を通過できた。
「東京五輪は1本だけで通過できて良かったと言っていただきましたが、あれはかなり力を使っています。抜きすぎて失敗するかもしれませんが、そういったチャレンジができるのも今シーズンだけ。抜き方を身につければ、今後メダルを狙っていける」(森長コーチ)
今大会も予選通過記録は8m15に設定された。橋岡の通過の仕方に注目したい。

男子100mは予選が行われる。東京五輪ではプラス通過の最低タイムが10秒12だった。復調したサニブラウン・アブデル・ハキーム(タンブルウィードTC・23)は余裕で通過できそうだ。坂井隆一郎(大阪ガス・24)も日本選手権や布勢スプリントと同じ動きができれば通過できる。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)