シカゴ・カブスでMLBの3年目を迎える鈴木誠也(29、すずき・せいや)に高橋尚子キャスターがその心境に迫った。2023年3月のWBCではわき腹のケガで無念の出場辞退を味わった一方、2023年のMLBでは日本人史上3人目となるシーズン20本塁打を記録する実りあるシーズン<2023成績:打率 .285 打点 74 本塁打 20>となった。天国も地獄も経験した波乱の2023年から次なる1年へ臨む心境に迫った。
元チームメイトらと沖縄で自主トレーニング
古巣となる広島カープの4選手<堂林翔太(32) 末包昇大(27) 髙木翔斗(20) 内田湘大(19)>と行う沖縄県での自主トレーニングにシドニー五輪・マラソン金メダリストの高橋尚子キャスターがランニングメニューに参戦した。一流のマラソンランナーのスピードを体感し、大きな刺激となった。
本職たるバッティング練習では鈴木誠也選手が一流の技術を披露しながら、元チームメイトへの「誠也塾」が開かれた。

「手を乗せてる感じで引くんですけど、肘がグッと入ると止まっちゃう」「力を入れない。力が上半身に入ると、力が上に上がってくるから。下でタイミングが取れなくなるから、俺はなるべくグリップを下に落としておく」と惜しげもなく助言や打撃理論が後輩らに伝えられた。
若手とのコミュニケーションにも意味
真剣な表情で打撃理論を教える一方、ランチタイムでは年齢の離れた選手達とも和気あいあいとコミュニケーションをはかる様子が伺えた。
高橋尚子:
練習を拝見させて貰ったんですけど、楽しそうですね。
鈴木誠也:
彼(内田湘大<19、うちだ・しょうだい>)が一番楽しそうです。
高橋:
やっぱり一番年下でムードメーカーですか?
内田湘大:
はい、いえ…
高橋:
憧れていたりしたんですよね?
内田:
憧れていました…
高橋:
その憧れというのは、どういう風に変わりました?
内田:
“憧れるのを止めました”
高橋:
上手いこと言ったね!
鈴木:
こういうヤツなんですよ!

高橋:
(鈴木選手が)若い頃、憧れの存在は誰だったんですか?
鈴木:
僕はその時、堂林さんが練習している姿勢だったり、ずっと見ていたので。広島の試合を高校生の時に東京ドームに観に行ったときに、堂林さんが試合前なのにフェンス沿いでずっと素振りしていて。『堂林打てやー』とか言っていたんですよ…

堂林翔太(32):
覚えています!!
鈴木:
いや絶対聞こえていない!スタンドの一番上でしたもん!
高橋:
今年は30歳。10歳くらい下の後輩と自主トレをやるようになって変わった部分は?
鈴木:
みんな可愛いので基本的に後輩は好きですし、あの子たちの持っている感覚を聞くと自分にも引き出しになるので、一緒にやらせて貰っていますね。
2024年へ向けて
今年でプロ12年目、その意気込みに迫った。
高橋:
今回のテーマを挙げるとしたら、何ですか?
鈴木:
再現性ですかね。自分のイメージ通り体が動かせるのか、という。去年は気持ちではもう少し行けるのだけど、体が固まっていけないとかそういう状況があったので。もちろん怪我にも繋がったという部分があったので。今年はその経験を踏まえて、動きの中でのトレーニング、瞬発系のトレーニングを数多く入れている。思い描いている動きをそのまま出せるのかという再現性をより高められるトレーニングをやっているつもりですね。
高橋:
これ(スパイク)をお借りしても良いですか?…すごい…こちらが今、履かれている…
鈴木:
柄が練習用なんですけど、スパイク自体は試合で使っているものと一緒ですね。愛犬マークで。シュナウザーで。

練習用のスパイクとグローブに愛犬をデザインした。同じ1994年、戌年うまれの愛犬家、大谷翔平(29、おおたに・しょうへい)とは同じリーグで戦うシーズンとなる。
大谷翔平ら加入のドジャースは「ズルいっす」
高橋:
ドジャースには山本由伸(25、やまもと・よしのぶ)投手、大谷選手が加入しました。戦う事をどういう風に感じていますか?
鈴木:
翔平もすごいんですけど、周りの選手も本当えげつないんですよ。ズルいっす。
高橋:
大谷さんの凄さってどこですか?
鈴木:
あいつの打撃練習は、本当にバケモンですからね…バッティング教えてって言っても、『俺は教えられない』とか言って逃げられるんで。『ダメ…もういい聞かん!』とか言っていつも話しているんですけども。

高橋:
良い仲間ですよね…
鈴木:
翔平が常に頑張ってやってくれているので、日本人の評価も高くなっていますし、それに続けるように僕も下の子たちがMLBに入って来やすいように頑張りたいなと思いますね。
なお、カブス×ドジャースの初対戦は4月6日(日本時間)。