JAXAの小型月着陸実証機が世界で初めて月面ピンポイント着陸に成功。「降りたいところに降りる」という、月探査の新たな扉を開きました。加速する月面開発のカギとなる“ピンポイント着陸”、なぜ重要なのか?手作り解説でお伝えします。
世界が注目「ピンポイント着陸」

JAXAの月探査機「スリム=SLIM(Smart Lander for Investigating Moon)」、「賢い月探査着陸船」という意味です。高さ2.4メートル、重さ210キロ、人間より一回り大きいサイズです。2023年9月に打ち上げられました。

これまで月面着陸を成功させているのは、旧ソ連、アメリカ、中国、インドで、日本は5番目になります。それぞれ「世界初」がありますが、アメリカは人間が着陸、中国は月の裏側に着陸。インドは平らな地形が少なく難しいとされる月の南極付近への着陸を成功させています。
今回SLIMが達成したのは「世界初のピンポイント着陸」。
逆立ちして着地…発電不能に

従来は着陸地点の目標は「数キロ範囲」でしたが、ピンポイント着陸は
「100メートル以内」。SLIMは、月の赤道のやや南側「神酒(みき)の海」エリアにある、目標のクレーターの東側55メートルに降りることができました。

ただ成功したとはいえ、トラブルもありました。降下中、高度50メートル付近で2本あるメインエンジンの一本が、何らかの理由で脱落。速度制御が不完全なまま、逆さにひっくり返った状態で着陸してしまったのです。本来なら、ソーラーパネルが上を向き、太陽の光を浴びて発電するはずだったのですが、太陽に背を向ける形になってしまい、電源が得られなくなってしまったのです。

それでも希望はまだあります。今はスリープ状態ですが、月が自転し太陽の光が当たれば、また目が覚め、画像などのデータを送ってくる可能性もあります。














