大分県内の公立高校は大学などへの進学のため、大分市を中心に希望者が集中する傾向がある一方、地方の高校の中には生徒の確保に頭を痛めている学校もあります。

大分県立国東高校は、普通科のほか園芸ビジネスなど専門科の学科をそろえた総合選択制高校です。全校生徒は442人。今年度の入学者は定員に届かず、68%にとどまっています。

国東高校・小田雅彦校長「国東高校に(国東市内の中学生が)来る進学率は6割。4割の生徒は市外に出ていく。部活動や進学であれば大分市内の進学校に行っている」

1市・1校の国東市では国東高校に通う進学希望者のニーズに応えるため公営塾の設置に向け準備を進めています。公営塾とは子どもの学力向上などを支援する行政サービスです。県内では自治体が地元の高校に通う生徒を対象に民間業者が運営する形で広がっています。

玖珠町は町内唯一の高校、玖珠美山高校の生徒を対象に無料の公営塾を6年前に開設しました。現在2、3年生およそ100人が在籍しています。公営塾では学校の授業に沿った内容で英語と数学を中心に個別指導を受けることができます。この日は終わったばかりの期末テストを振り返り反省点などを書き出していました。

玖珠志学塾


生徒「テスト範囲のわからないところを埋めていけるのはいいと思います」「今まで塾に通ったことはなかったんですけど玖珠美山に志学塾というのがあると知って入学するときには通おうかと思った」

塾では高校と連携して生徒の学習をサポートすることで今後さらに進学実績をあげることを目指しています。

藤枝塾長「国公立大学や有名私立を目指す総数を増やすことが第一歩。それとともに合格率も上昇させて玖珠美山高校がより魅力的な高校になるように貢献していきたい」

実際、玖珠美山高校は入学定員が減少したとはいえ定員充足率がこの2年間は9割を超えています。また玖珠郡内の中学校からの進学率も上昇しています。玖珠町が年間およそ3000万円をかけている公営塾。町の教育委員会は定員確保に一定の成果は出ているとみています。

玖珠美山高校の定員充足率


玖珠町教委「公金を投入する以上は効果が必要。行政、高校、塾の3者が共同してやっていますので学習に向き合える環境を整えて美山に行きたいという仕組みができるといい」

一方、国東市では建物の改修が終了し、今月23日の塾の開始に向けて最後の詰めに入っています。国東高校では来年度以降、全国公募と宇宙コースの新設も計画されていて魅力向上を図りたい考えです。

国東市教育長「国東高校に進学していただく環境、選ばれる高校になる。目玉は何なのかこう考えた場合に宇宙コース。中から進学していただく、外から来ていただく。そして公営進学塾を使って将来の夢をかなえてもらう」

高校の存続は地域の活力にかかわる重要な問題だけに行政や民間の力を含めた教育環境の充実が進められています。