今年に入って日経平均株価が急上昇しました。年初の3万3288円が、一時は3万7000円に迫る場面もありました。日銀のマイナス金利解除見送りを機に、急騰局面はひとまず落ち着いたようですが、相場押し上げの主役は海外投資家でした。

海外投資家は買い越し、個人は売り越し

東京証券取引所の投資部門別売買動向(株式)によれば、1月第2週は海外投資家が9557億円の買い越しと半年ぶりの高い水準になりました。翌第3週も3841億円と買い越しが続いています。

一方で、国内の個人投資家は、第2週が1兆695億円の売り越しと2013年11月以来、約10年ぶりの高い売り越し額を記録しました。翌第3週も1854億円の売り越しと、売り越しはなんと6週連続です。また年金の動向を反映するとされる信託銀行も、第2週が105億円、第3週が1915億円とこちらも売り越しが続いています。

全体として見れば、外国人投資家が買って相場を押し上げ、国内の個人や年金は利益を確定させようとせっせと売っているという構図が浮かび上がってきます。

新NISAも日本株より海外株?

今年は1月から新たな少額投資非課税制度=新NISAがスタートし、個人マネーが株式投資に向かうことが期待されていました。もちろん個々人としては、これを機に日本株投資を始めた方も大勢いらっしゃいます。日本経済新聞によれば、新NISAによる2024年の日本株への資金流入額は2兆円にのぼるとの試算もあるということです。しかし先に示したデータは、個人投資家セクター全体としては、そうした買いよりも、相場の急伸を受けた売りの力の方が遥かに大きかったことを示しています。

また、新NISAでも、日本株より「S&P500」や「オルカン(オール・カントリー)」と言った海外株がより選好されていることもうかがえます。財務省によれば、1月第2週(7~13日)の国内投資家による海外株投資は、7833億円の買い越しで、買越額は1年ぶりの高い水準でした。

こうして見ると、国内の投資家は、日本株の先行きには懐疑的で、むしろ海外株、とりわけアメリカ株の上昇に、より期待している姿がうかがえます。