全国の感染者が10万人に迫る中、岸田総理は「行動制限は考えていない」と述べました。なぜなのか?政府分科会の尾身会長は「大きな社会の要請」だといいます。一方、「全国旅行支援」は延期に。“県民割”を8月まで延長するということですが、自治体によって判断がわかれています。
■「最悪のことも選択肢に…」政府分科会は危機感募らせるも「行動制限なし」
政府分科会 尾身茂会長
「今回我々はかなり危機感を持っております。最悪のことも、一応は選択肢として考えておかなきゃいけない」
7月14日午後8時過ぎ、会見した政府分科会の尾身会長。今の感染状況に危機感をあらわにしました。
7月14日東京の新規感染者は1万6662人。全国では9万7788人で、10万人に迫る勢いです。
政府分科会 尾身茂会長
「第6波のピークを超えることが有り得る覚悟をしておいた方がいい」
急速に広がる感染に、政府はどう対応するのか。7月14日、岸田総理は…。
岸田文雄 総理(7月14日午後6時過ぎ)
「私たちはこれまで、6回の感染の波を乗り越えてきました。我が国全体として対応力が強化されています。まずは強化された対応力を全面的に展開することで、新たな行動制限は現時点では考えていません」
行動制限は考えていないという岸田総理。そもそも政府は行動制限をしない方針でしたが、感染症の専門家からは、急速に感染者数が増加し、死亡者数が増加する可能性があるとの懸念も示されたといいます。しかし、結論は「制限なし」。なぜなのでしょうか。尾身会長は…。政府分科会 尾身会長
「みんな感染症対策だけでやってくれればいいと言えば、明日にでも強い制限を出すけども、大きな社会の要請というか、これはもうなるべくできれば社会経済を回したいという大きな意向があるわけですよね」
尾身会長はワクチン接種の加速化など感染対策の徹底が、「行動制限なし」の条件だといいます。一方、「支援」もなくなります。
斉藤鉄夫 国交大臣(7月14日午前10時過ぎ)
「現在の状況は全国旅行支援を実施する、そういう状況にはないと。このように判断をしたところでございます」
7月に開始する予定だった「全国旅行支援」は、1人1泊当たり最大で1万1000円を補助する支援策です。その延期に伴い、「県民割」を8月末まで延長するといいます。ただ延長するのかなどは、各自治体の判断となります。
群馬県 山本一太知事(7月14日午後2時過ぎ)
「群馬県では、現在実施している“愛郷ぐんまプロジェクト”第5弾を8月31日まで延長することを決定いたします。国が全国旅行支援を実施するまでの間、切れ目なく事業者の皆さんを支援するため」
7月14日午後9時時点、ホームページ上などで延長を発表している自治体は39道県となっています。一方、延長しないという判断をした自治体もあります。
大阪府 吉村洋文知事(7月11日)
「(県民割の)再延長はいたしません。この先、感染がさらに急拡大をして、そしてそれを途中で止めるということになると、旅行事業者の皆さんも途中で、キャンセルというふうになると、非常に対応も困難になりますので」