鳥取県沿岸で大量発生している厄介者のウニ・ムラサキウニ。
いま、このウニに、新たな商品価値をつけようと、ある取り組みが始まっています。


記者 土江諒
「こちらの水槽にいる生物、ムラサキウニなんですが、その上に浮かんでいるの、これレタスですかね?」


水面にプカプカと浮かんでいるのは、海藻…ではなくレタスです。
これはれっきとした、ムラサキウニのエサなんです。

鳥取県東伯郡湯梨浜町にある鳥取県栽培漁業センター。
ここでは、サバやギンザケといった魚の試験養殖などを行っていて、去年4月、ムラサキウニの試験養殖も始めました。

ムラサキウニ。
2~3年前から、鳥取県沿岸で大量発生していて、実はちょっと厄介なウニなんです。

水温が高いと活動的になるといわれるムラサキウニ。
温暖化により海水温が上昇して大量発生し、海藻の新芽などを食べつくしてしまうため、海藻をエサとするアワビやサザエが激減。
また、「藻場」が無くなり、魚が住めない「磯焼け」の海底を広げてしまうんです。

ウニとはいえ、ムラサキウニは中身がスカスカで商品価値もありません。

このため、今年から駆除活動が行われています。


鳥取県栽培漁業センター 武坂亮研究員
「海中で潰してしまうウニですが、身入りを良くしてエサを与えて商品価値を高めることができたら、それは一つの大きな手段だと思う」

厄介者に商品価値を。
県栽培漁業センターでは、水温・日照条件、エサなどを変えて飼育し、水産資源として活用できないか模索している、というわけです。

エサは、これまでパイナップルなども挑戦したそうですが、レタスや海藻がお好みなんだとか。

左が磯焼けの海で育ったウニ、右がレタスなどを食べて育った養殖ウニ。
身のつまりは一目瞭然です。


そして、気になる養殖ウニのお味は…?

記者 土江諒
「臭みがほとんどない。ウニが嫌いな人にでも進められる、そんなウニに仕上がっていると思います」

鳥取県栽培漁業センター 武坂亮研究員
「与えるエサによってウニの身は変化があって、海藻と比べて、レタスを与えたウニだと磯臭さが無くなるといったそういった特徴がある」

記者の舌では少し不安なので、取材班は、米子市内のイタリアンレストランへ。
プロの料理人の評価は…?

トラットリア富の巣 富谷祐也オーナー
「嫌な磯臭さがなくて食べやすい」
記者 土江諒
「アリかナシかでいうと?」
トラットリア富の巣 富谷祐也オーナー
「アリです!」

プロの料理人も即答するほどの高評価!
では、料理にした場合は?
今回特別に、このウニを使ってクリームパスタを作ってもらいました。


記者 土江諒
「濃厚なクリームとウニが本当によく絡んでます。ウニ自体はあっさりしていて磯臭さがないが、ウニの存在感は無くなってない」

新商品となる可能性は十分ありそうです。
厄介者が鳥取県の新たな特産になるのか?ムラサキウニの養殖、今後も注目です。