能登半島地震で大きな被害を受けた石川県内の酒蔵の復旧を支援する動きです。
宮城県川崎町の醸造店が、被災した酒蔵のもろみを回収して清酒にする仕上げの工程を代わりに行い、23日瓶詰め作業が行われました。

新澤醸造店・杉原健太郎専務
「こちらがお酒のタンクになります。今この中にお酒が入っているのですが、数馬酒造から引き受けたもろみを弊社で絞ってそれが今こちらに入っている」

新澤醸造店は今月17日、片道10時間以上かけて石川県能登町にある数馬酒造店を訪れ、蔵にあった日本酒のもとである「もろみ」およそ1トンを回収しました。

もろみから搾りだした清酒は一升瓶で400本分ほどで、23日はその瓶詰め作業が行われました。

新澤醸造店・杉原健太郎専務
「数馬酒造店のお酒にしたいという思いを少し叶えてあげられたかと思うので、少しほっとしている」

現地を訪れた新澤醸造店によりますと、数馬酒造店は地震で建物の一部が倒壊したほか、津波による浸水や酒造りに欠かせない水が使えないなど大きな被害が出て、復旧は見通せないということです。

新澤醸造店・杉原健太郎専務
「もろみは時間をかけて手間暇かけてお酒にするまでに力を注いでいるものがお酒にできないということは、酒造メーカーとしてものすごく辛いことなので、うちの絞り機を使って瓶に詰めた状態でお渡しできたらと」

新澤醸造店は2023年7月、ロンドンで開かれた品評会の授賞式で数馬酒造店と出会ったことをきっかけに親交がありました。
今回の地震による被害を知り、東日本大震災で被災した経験があるからこそいち早く支援に乗り出しました。

新澤醸造店・杉原健太郎専務
「震災の時にたくさん支援してもらったので、そういった意味でも出来る限りのことをお手伝いしたい。震災の経験やこれからどういうことが予想されるかお伝えしました」

能登半島地震から3週間。
被災地の1日も早い復旧の後押しになればと支援の動きが広がっています。

瓶詰めされた清酒は、数馬酒造店の復旧作業の状況をみて受け入れ態勢が整い次第送り返すということで、それまでは新澤醸造店で保管するということです。