自民党の裏金問題では、現役議員が相次いで起訴され、派閥解散の動きにもつながりました。特捜部の聴取を受けた安倍派幹部の会計責任者が取材に応じ、政治とカネの実態を語りました。

安倍派幹部の会計責任者が語る実態

今回の裏金事件で、東京地検特捜部の聴取を受けたという人物がいる。
安倍派幹部の事務所で、会計責任者を務めてきた男性だ。
聴取の冒頭、検察側から“黙秘権”の説明を受けたという。

安倍派幹部 会計責任者
「『答えにくいことがあるなら、別に答えなくて構いません。それで(罪に)問われることはありません』そんな言い方だったと思います」

派閥から押収したとみられるデータをもとに、検察庁の庁舎や、ホテルの一室で、複数回にわたり、調べが行われたと話す。

安倍派幹部 会計責任者
「よく調べているというか、全部、データを持ってるんだなと」

村瀬健介キャスター
「例えばどういったデータ?」

安倍派幹部 会計責任者
「入出金記録ですね。多分、通帳を押さえてるんだと思います。そこから全部見てるんじゃないですかね」

村瀬キャスター
「金の出入りは全部知られている?」

安倍派幹部 会計責任者
「みたいですね」

特捜部は19日、安倍派、二階派、岸田派の3つの派閥の会計責任者らを立件。

裏金として、高額のキックバックを受け取った議員側では、安倍派の池田佳隆 衆院議員に続き、大野泰正 参院議員、谷川弥一 衆院議員を立件した。

一方、安倍派「5人衆」と呼ばれる幹部や、事務総長経験者ら7人のうち複数の幹部が、特捜部の聴取に対し、キックバックについて自身の関わりを否定する説明をしたという。

「キックバックは会長案件だった…」

――派閥の会計責任者は“自らの判断で行った”と?

安倍派幹部 会計責任者
「そう言わなきゃしょうがないだろうと。自分がその立場だったら、そう言うと思いますよ。間違いなく」

ーーたとえ議員から指示があったとしても?

安倍派幹部 会計責任者
「あったとしても」

ーー議員は守るという?

安倍派幹部 会計責任者
「守るということですね。やっぱり、この世界はそうでなきゃいけないだろうし。政治家の、政治団体の会計責任者をやるということは、そういうこともあるということです、最初から」

20年以上にわたり、続けられていたというキックバックの慣習。

派閥では、安倍元総理が会長だった2022年5月のパーティーを前に、キックバックを廃止する方針が決まったという。

――取りやめのお知らせは来た?

安倍派幹部 会計責任者
「連絡もらいましたね。“今年は戻し(キックバック)は無いから”って。毎週、(派閥の)総会やってるじゃないですか。あの時に多分、発表があったんじゃないですかね」

しかし、派閥の議員からの反発を受け、その後もキックバックは、継続されることに。

ーーこれをひっくり返す判断は誰が?

安倍派幹部 会計責任者
「分からないですね。復活したこと自体も、実を言うと知らなかったぐらいの話なので。ただ、ひとつだけ言えるのは、ずっと続いていたことを止めるというのは、やっぱり安倍先生ぐらいの強権が無いと、無理だと思います。ただ、それを以前(キックバックを継続する)に戻すというのは、比較的簡単ではないかと」

特捜部は今回、会計責任者のみならず、議員との“共謀”を立証しようとしてきた。

男性は、キックバック分を記載するかどうか、最初の判断を、会計責任者だけですることは考えられないと話す。

安倍派幹部 会計責任者
「(報告書に)載せないということに関しては、政治家が決めることだろうと。これは多分、会計責任者・秘書というよりは、先生方(議員ら)の問題だと思うんですけどね」

――秘書が決めるような話ではない?

安倍派幹部 会計責任者
「ではないと思いますね」