誹謗中傷に関する裁判例を分かりやすく紹介

「TOMARIGI」でコピーライターを担当している日野原良行さんは、以前、自分が公開していた動画コンテンツで誹謗中傷を受け、その時の経験をこのサイトにも反映させているそうです。

「TOMARIGI」コピーライター・日野原良行さん
「以前、僕がバーチャルユーチューバーみたいな形で活動をしていたときに、誹謗中傷を受けたことが何度かありました。その時はまずショックで、冷静ではいられなくなってしまいます。アカウントに鍵をかけて、何も発信できない時期が何か月もあって、どうしたらいいんだろうみたいな気持ちになるので、そんな時、知っておくべきこととして、『裁判例』があると思っています。いま起きている事実を客観的に俯瞰できるよう、知識を蓄えておくといいかなと。容姿を侮辱されるような発言をされたとか、なりすましをされたとか、デマを流されたりとか、そういう事例の裁判の知識を持っていれば、少なくともパニックにならずには済むのかなという気はしています」

日野原さんの言う「裁判例紹介」コーナーは「TOMARIGI」の特徴的コンテンツで、人を傷つけるコメントをした人に対して、こんな裁判が起こされて、その結果、損害賠償がどのぐらい支払われたか、などの例がいくつも紹介されています。裁判所などで見られる実際の裁判事例は文章が難しく分かりにくいので、弁護士の監修のもと、ライターが理解しやすく書き直しているそうです。こうした情報を見るだけでも、苦しんでいる人が心強さを感じて気持ちの上で少し余裕ができるかもしれません。

「裁判例紹介」コーナーは、被害を受けたと感じた人だけでなくSNSを利用している人の誰もが一度は見て、誹謗中傷は匿名で書き込んでも発信者の開示請求をされ、裁判になる可能性があり、どのような罰則を課されるケースがあるかを学べる場になっています。SNSでは正義感やいたずら感覚で書き込んだコメントでも、相手を傷つけて誰でも加害者になってしまう可能性があります。誹謗中傷された人でなくとも、「TOMARIGI」の「裁判例紹介」を見て、学ぶことに意義があると思いました。

最後に西植さん、日野原さんに、「TOMARIGI」の今後の展望を聞きました。

左)日野原良行さん 右)西植弘さん

「TOMARIGI」プロデューサー・西植弘さん
「行政、省庁、学校とか民間とか個人とか、どこかひとつだけで対処していては難しい問題だと思うので、みんなで取り組んでいく社会課題のひとつなのかなと思ってます。『TOMARIGI』を使ってパートナーシップで広げていきたいという企業の方とか学校関係者の方がいらっしゃれば、ぜひともご連絡いただければ。一緒にできることがあると思います。同じ思いの仲間を増やしていければ、より良いなと」

「TOMARIGI」コピーライター・日野原良行さん
「SNSは誰でも人権侵害してしまう、されてしまう媒体だと思うんですけど、もっといい場所にしていきたい。最終的には、そもそもこんなサイトは必要ない世の中になればいいなと思ってます。そうなるために、加害してしまう可能性のある方々にも、ちゃんとこのサイトを知ってほしいと思ってます。みんなで考えていければと思います」

インターネットのメディアはまだ始まって歴史が浅いため、マナーやエチケットがしっかり確立していません。そこで起きている人権侵害を身近な問題として考えるのに、「TOMARIGI」は役に立つツールだと思います。

(TBSラジオ「人権TODAY」担当・藤木TDC)