81歳vs77歳 高齢化するアメリカ大統領候補の背景には

小川キャスター:
斎藤さん、トランプ氏の中核的な支持者の皆さんは、信仰とも言えるような熱狂的な支持というのを厚くしていくということなんですね。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
陰謀論もあるんですけど、こんなに裁判も抱えている状況を考えると、トランプ氏が再選してしまう可能性が出てくるということ自体が、やはり「どれだけバイデン弱いんだよ」ということだと思うんですよね。やはり弱すぎで、人気がなさすぎる。

この背景には、バイデン氏が既に81歳(トランプ氏は77歳)で、もう一回当選すると、86歳まで大統領をやる。既に結構言い間違えやふらついたりなど、健康問題が少し疑問視されている中で、実は共和党は明らかに人材が枯渇して、またトランプかというのもありますけど、民主党の方も結構人材が枯渇してきている。

本来であれば、アメリカという超大国のリーダーを決める選挙なのに、白人のおじいちゃんたちが戦っているというのは、ここでもやはりアメリカの超大国としてのパワーが揺らいできている現状が見え隠れするような気がします。

小川キャスター:
この辺りについて、宮本さんはどうですか。

宮本晴代 記者:
顔ぶれが本当に変わらないですよね。これはアメリカの今の二大政党制の限界を露呈してると思います。民主党の方は高齢のバイデン大統領(81)がどかない。実際に地方にはいい人材がいるんですけど、出てこられない。

共和党の方は共和党で、トランプ氏がいる間に共和党というよりも、“トランプ党”に変質してしまったということがあります。そうなると、よりトランプさんのような、あるいはトランプさんよりも過激なことを言おうとする人しか党内での支持を集められないと。

そういう人しか最後、本選に残れないので、結局はまた同じ顔ぶれになってしまうと。システムの限界ということもありますよね。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
やはり変わらないことへの不満というのは、アメリカの中では相当あると思うんです。一つに格差の問題というのがあります。

NGOの「OXFAM」の報告書によると、今の世界の格差でいうと、世界の金融資産の43%をトップ1%の富裕層が独占している。その結果として、コロナ禍でかなり株価上がったので、世界の最富裕層の5人の総資産というのが、わずか3年で約2倍になっている(2020年は約59兆円、2023年は約126兆円)。

こういう富裕層たちが増えてくると、政治に圧力をかけて、ますます規制緩和や法人税を下げたりということで、格差がどんどん広がっていくという悪循環になっているわけですね。

一方、庶民はインフレなどの生活で苦しんで「こんな社会変わらないじゃないか」という中で、陰謀論に走ってしまったりする。こういう動きは今のヨーロッパなどでも出てきていますし、日本でも「裏金問題」なども含めて政治への不信感に。

庶民の生活が苦しいというものがこうした陰謀論やポピュリズムに繋がってしまう。これは他人事ではないと思います。

小川キャスター:
本当に他人事ではないという動きとなっているということですね。