アメリカ軍北部訓練場の跡地から今も廃棄物が見つかっている問題で、防衛省が2017年当時、廃棄物が残っていることを事前に県に報告しながら「支障除去を終えた」として地権者に土地を引き渡していたことが分かりました。
背景には世界自然遺産登録のため、スケジュールありきの対応があったとみられます。
2016年にアメリカ軍から返還された北部訓練場の跡地は沖縄防衛局が汚染物質などの除去を終えたとして、返還からおよそ1年後の2017年に地権者に引き渡されましたが、その後も未使用の空包や照明弾などが相次いで見つかっています。

環境調査団体インフォームド・パブリック・プロジェクトが県への情報開示請求で入手した資料によりますと、防衛省はアメリカ軍のものとみられる鉄板などの廃棄物が現地に残されていることを認識したうえで、撤去しない方針を2017年6月に県に報告していました。

そのうえで、半年後の12月には「支障除去を終えた」として廃棄物が残っていることを公表しないまま地権者に土地を引き渡しました。
インフォームド・パブリック・プロジェクト 河村雅美代表
「支障除去が終わったというのは、沖縄防衛局は本当は撤回しないといけないと思うんです、はっきりと。返還自体が非常に政治的なものになってしまうので、結論が決まった状態で調査とか支障除去っていうのをやっていたということですよね」
このほか開示された資料には、会議で県の職員が「廃棄物が残されたままになることを聞いてしまった以上、支障除去の徹底の観点から国に何か言うべきではないか」などと発言していたことが記載されています。

インフォームド・パブリック・プロジェクト 河村雅美代表
「知ってしまった以上という言葉が、(県は)世界自然遺産にスケジュール通りにやりたいというところもあったと思いますし、最終的には隠蔽に加担したという立場にとられてしまう」
この問題をめぐっては、おととし3月からの1年間に、空包およそ1万9000発や実弾3発などの廃棄物を沖縄防衛局が「調査」の名目で回収していたことが分かっています。