なくならない自動車業界の不正や隠蔽
青木:自動車業界では、以前にも三菱自動車やスズキ、日野自動車も不正問題が発覚しているということがありましたけれども、これから他の自動車メーカーや産業全体がこの問題を未然に防ぐために対策をとっていかないといけないかもしれませんね。
森口:そうですね。今言われた中で、三菱自動車のときはリコール隠し。不具合があったときは、リコールをどこのメーカーも出すのですが、それをやると大変だっていうことで、リコール隠しなかった結果、死亡事故に発展してしまったっていうことがありまして、これが非常に問題になって、当時の担当者の重役が有罪判決になりました。
スズキの場合は燃費偽装で数字をちょっと盛ってしまったっていうことで、この場合は命に関わることではないんですけども、それでも役員が辞任する騒ぎになっています。
それから最近で覚えてる方いるかもしれませんが、日野自動車がディーゼルエンジンの不正をやりました。ダイハツと似たような感じで、排ガスを検査に通したいために、いろいろ不正をやってしまったということで、発表して半年後に国土交通省がさっきいった型式指定の取り消し、要するにドライバーでいうところの「免許の取り消し」でもう1回指定を取り直さなくてはならない、そのぐらい厳しい処分が下ったんですね。
青木:ダイハツの車に乗ってる方って、たくさんいらっしゃいますけど、今回問題となっている車種に乗っている方っていうのは、そのままで大丈夫なんですか。
森口:もちろん個人の判断にもよるんですけども、危険だなと思う人がいるのは全然おかしくない話です。ただ、今ダイハツ自身が全車種の生産を止めてるので、代わりの車がない状況なんです。だから、個人的には例えばスズキにちょっと助けてもらうとか、そういうこともあっていいかと思います。あと日本っていう国が皆さん、ちょっとおとなしい。これ良くも悪くもなるんですけど、例えば過去にフォルクスワーゲンの場合は、安全性とは直接関係ないのに企業責任を問う集団訴訟みたいなことが起こっています。このように海外だと、カーメーカーの不祥事はすごい騒ぎになる可能性があるんですけど、日本人の性格が騒動を収めている側面もあるようです。でも、企業の誠意のない姿勢に対して声を上げたい人は、遠慮せずに上げた方がいいとは思いますよ。

青木:今後ダイハツ工業はどのように信頼を取り戻していくべきなのでしょうか。
森口:短期開発の目的が、安くて燃費がいい車を出そうっていうところだったんですけども、そうじゃなくて、総合的にデザインとか、走りとか、そういうところまで含めた「いいクルマ」を造るのがいいかと思います。ユーザーがそれを買って評価するという車社会になると、多分車を開発する人もやりがいを感じながら開発するわけで、そうすると、いい車ができて、買う方もワクワクできるー。そういうクルマ造りが理想です。軽自動車でいうと、ホンダのN-BOXという車は結構値段が高いけど、皆さん買われてベストセラーになってますから、やっぱりそういうクルマ造りにだんだんと移行していってもらいたいなと、車好きとして思ってます。