湊さんは高校卒業まで因島で育ち、いまは、兵庫県の淡路島で作家活動を続けています。子どものころから江戸川乱歩などの推理小説が大好きだったといいます。20代のときには青年海外協力隊に参加して、トンガに赴任した経験もあります。作家を目指したのは、結婚して長女が生まれてからでした。

湊かなえさん
ーー淡路島で書くということ
「当時、淡路島に住んでいたので、脚本を書いて東京のテレビ局に授賞式に行ったときに、地方に住んでると脚本家になるのはちょっと厳しいですねって言われて。やっぱりみんなで作るものなので、直しが入ったら1時間以内に来れる方が新人のうちは重宝されますって言われて。この時代にまだ東京に住んでいないと難しい仕事があるのかということにもショックを受けたし、何か悔しい思いがあったので」
小説なら淡路島でも書けるー。湊さんは2008年、35歳のとき「告白」で作家デビューします。女性教師の衝撃的な“告白”から始まるこの作品は大ヒットし、一気に日本を代表するベストセラー作家となります。

売れっ子になっても気さくで飾らない素顔はそのまま。「どこにいても輝ける」と、ふるさとにエールを送ります。
湊かなえさん
ーーどこにいても輝ける
「因島を出たいなっていう気持ちはありましたが、でも実際大人になって因島ではない所に住んでみたり、小説家になってずっと15年間、淡路島を拠点に活動していると、どこからでも発信はできるし、どこからでも受け取れることはできるし、どこに住んでいても一緒だなと思います。田舎だろうが都会だろうが海辺だろうが山奥だろうが、自分がいるところがアンテナ、発信の場所って思うといい」

〈映画「母性」〉湊かなえ原作
「私は娘を強く抱きしめて言ったのです。“愛してる”…」
娘を愛せない母親と愛情を求め続ける娘のすれ違いを描いた小説「母性」は2022年、映画になりました。尾道映画祭では「母性」を上映したあと、湊さんも登場し、監督とトークショーを行います。
湊かなえさん
ーー作品の映画化について
「映画『母性』は、いままで持っていた戸田さんや永野さんのイメージとは違う、何か抱えたものがある人の表情を見せてもらえるので、本当に息をするのも忘れたというような作品になっています。映画を見て本を読んでみたいなと思ってくれる方とか、本の入口はいろんなところにあるといいと思っているので、映像化はすごくうれしいことだと思っています」















